灰色の箱を塗り替えよう!
あとがきは、あとで更新しますにゃ☆
昼休みになった。ピアンは、ひょっこりと首だけ鞄の外に出す。
「さぁ、魔法探しの続きをしようぜ!」
「ダメ!昼休みは放送当番で放送室にいなきゃいけないの」
ピアンは残念そうな声をあげた。美稲は首だけ出ているピアンを無理やりバックの中に押し込む。
放送委員会といっても放送室の中で、適当な音楽CDを流すだけのいたってシンプルなものだ。ほかに仕事がなく、少し退屈ではある。昔は校内放送なども盛んだったのだが……。
「あの灯虎先生が来てからはちょっとね……」
灯虎先生とは妙な威厳の溢れる先生だ。先生が来てからは、ほのぼのとした校内の様子は一変した。職員室からは常にすすり泣く声と発言すら許さぬ空気が漂っていた。徹底的な無駄の排除と文化祭の革命。有無を言わさない彼のカリスマ性の前には、他の先生(校長先生すらも)口出しができない。昔は、自由に校内放送が流れていたこの校内放送も今は高慢ちきなクラシックしか流れない。美稲も灯虎先生の高圧的な態度には憤慨している。
「つまんないなぁ……。」
灰褐色の防音壁が囲む放送室の中には美稲とピアンしかいない。鞄の仲は飽きたのか、ピアンがひょこりと飛びててくる。
「それだったら、なんか違うのかけようぜ。こう、ハードロックなやつとか」
「そんな反規律てきなの流したら怒られちゃう。っていうかもう前野がやったけどあとで灯虎先生とソロ面談したあとの姿思い出しちゃうから、やめてよ……もう。」
美稲は前野の変わり果てた姿を思い出す。先生に叱られる前の前野はハードロックが大好きな男の子だった。しかし先生と面談後の前野は、言葉で表現するとしたら白く、生気がなくなり、ロックのロの字を聞いただけで震えていた。灯虎先生に逆らった生徒、先生はみなそうなっていった。
ふと美稲は、ピアンが何か考え込んでいるのに気づく。
「どしたの?ピアン?」
「おまえ、前みたいに放送してみたいのか」
「えぇ、まぁね。昼休み中クラシックの音楽をかけてるだけなんてつまらなすぎるもん」
ピアンが子供ようないたずらな笑みを浮かべる。
「じゃあさ、放課後に灯虎先生の所にいってなんで駄目だったのか。聞いてみようぜ」
「やだよう。なんで私が」
「いいから、なぁ?暇は嫌なんだろ。それに、お前だって願い、かなえたいだろ?」
「うっ、わかったわよ」
美稲は妙に自信満々なピアンと言動に威圧されてしまい、美稲は灯虎の所へ向かうことに承諾したのだった。
校長先生は出張で休んでおり、教頭先生が隣の灯虎先生に対してビクビクしているのが扉のガラス窓からのぞき込める。
「ここに入りたくないんだけど……。」
美稲は自分の足が諤々震えているのがわかる。怖いのだ。あの灯虎先生の威厳に満ち溢れた目とそこから解き放たれるケルベロスの業火のような言葉の数々が。
「大丈夫、大丈夫。さぁいこうぜ!」
「うん……わかった。」
そして、美稲は職員室という名の冥界の扉を開いた。
魔法少女講座①~魔法使いのランクについて~
美稲「今回は、魔法使いの事柄について復習しましょう」
ピアン「おぅ、といってもお前はまだ『魔法少女』だがな」
美稲「えっとランクとしては、魔法少女、魔法使い見習い、魔法使い、だっけ……?この魔法使いから先は、体に星のタトゥーが浮かび上がるからそれで判断するのよね」
ピアン「おぅ。ちなみに、俺は2つ星魔法使いだったんだ」
美稲「ちなみに、この魔法少女の称号って男の子でもなるの?」
ピアン「あぁ、女装をした方が魔力が高まるからな。女の子だったら、私服でそのまま魔法が使えるが男だったら、女装しなきゃいけなかったから俺もたいへんだったんだぜ……。」
美稲「うわぁ……」