始
初めての作品になるかと。
まだ一話を書いた段階では、この先どうなるかは全くわからない。
だからこそ楽しみ。
みなさんも楽しんでいただけるように、頑張って更新していきます。
―― 「 魔法が使えたら、なにがしたい? 」
『 僕は空が飛びたい。 』
「 それはなんで? 」
『 素敵だと思わない?空を飛ぶのって。
あの青い空を鳥のように一度は飛んでみたい。
君は? 』
「 私は ――
【 魔法 】
すごく、懐かしい夢を見ていた気がする。
男の子と・・・幼い頃の私・・・・。
「魔法が使えたら・・・か。」
あの頃の私はなんと答えたのだろうか。まったく思い出せない。
思い出そうとすると、頭が痛くなる。
なんだこの頭痛は。それにあの男の子が誰なのかもわからない。
ベッドに寝転がったまま、片手を天井に掲げる。
真っ白な天井。日に焼けていない病人のような小さな手。
なにも考えずに、こうして手と天井を交互に見る。
手を下ろすと広く白い天井が広がっていて、「私はなんてちっぽけなんだ」
そう思わされる。これが日課。
外は雨みたいだ。さっきから、ザーっという音が耳に障る。
今は何時だ。時計が見当たらない。
なんの為にか、遮光カーテンにしたから外の様子もここからでは見えない。
家族もだいぶ昔に出て行ったので、人の声も、気配すらない。
「孤独死をする人はこういう環境なのだろうか」と思うくらいだ。
「よいしょ。」
とりあえず起きようと、ベッドから起き上がった。
ガチャンッ「いでっ!!」
ベッドから下りようとした時、さっきなにかを踏んづけた。
痛い足をかばい、もう一度ベッドに座り、足元になにがあるのかを探した。
「あ・・・・った。」
その正体はさっき見当たらなかった時計だった。
画面が割れている。踏んづけた拍子に割れたか。
ふと、足の裏を見ると、血が流れているのが見えた。
カーテンのおかげで暗くてよく見えない。
ティッシュも見当たらない。
「あーもう。」
今日は朝から最悪な気分。