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そしてサガミ先生の死体は…残さずアタシが食べた。
肉の一欠けらも残さずに。
キシはアタシのことになると、勘が血族並みに鋭くなる。
だからこんなことを言い出したんだろう。
キシの白い首筋が、眼に映った途端、思わずノドが鳴った。
この薄い皮膚の下の、あの味と匂いが、アタシの血族としての顔を出させてしまうのだ。
しかしキシが笑った。
「どうしたの?」
「まだボクが死ぬまで、ガマンしててくださいよ? 寿命はまっとうしますから」
顔を見ずとも、気配で考えが分かったらしい。
…やれやれ、いつまで狂気を押さえられるやら。




