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「…ヒミカ」

「何? キシ」

「一つ、ボクのお願い、聞いてくれませんか?」

「ん?」

 アタシは顔を上げた。

 優しく、そして悲しそうにキシは微笑んでいた。

「もしボクが、ヒミカよりも先に死んだら…その体を残さず食べていただけますか?」

「はあ?」

 何を突拍子もないことを…。

「ボクはアナタが死んだら生きていけませんから、すぐに後を追います。けれどヒミカはボクを食べて、ずっと生きててください」

「どういうお願いよ、それ」

 あんまりに勝手すぎる『お願い』に、思わず顔が歪む。


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