青い景色に空いた穴
別サイトで掲載している、薔薇の悲恋ものです。
主人公、汀相楽は物忘れがひどい。
高校三年生より前のことはさっぱり覚えていない。
彼は何も知らずに暮らしていた。平穏に花屋を営みながら。
高校三年生のときに起こったある事件をきっかけに、彼は全てを忘れていた。
その事件のもう一人の当事者と再会するまでは。
タイトルはこの曲と同名です。ちなみにこの相楽くんは四十四物語に出てくる相楽くんのその後です。
青い景色に空いた穴は
「哀しみ」入れても埋まらなくて
青い景色に空いた穴は
何を入れても埋まらない
喜び 怒り 哀しみ 楽しいことも
全て入れてみたけど何かが足りない
青い景色に空いた穴は
何を求めているのだろう?
青い景色に空いた穴は
誰の姿を消したのだろう?
憎しみ 痛み 愛し愛されても
全て意味がないなんてこと
まさか
笑った顔がひきつった
不本意に涙が零れる
わからぬうちに渦巻く
心どうしても君と歩けない
青は何の色だっけ?
知らぬ間に褪せていたね
春はいつのことだっけ?
いつの間に花は散った?
わからない……わからない……
足りない記憶が穴を深くするばかりで
青い景色に空いた穴は
きっといつか僕の骨を埋める場所
青い景色に空いた穴は
ずっと離れてた僕だった
愛しい人に伝えよう
僕で埋まらなければ花で埋めてと
青い景色に空いた穴は
やがて青く染まりゆく
「僕が言うことじゃないね
でも
僕を忘れないで」
青い景色を埋めた花は
やがて忘却の川に着く
青春、と思春期のことを呼んだりする。
そんなまだ青く瑞々しい世界が欠落してしまった相楽と、その周囲の者たちの物語。
周囲の者たちは精神的に削られながら、相楽は×を削られながら、哀しい物語を紡いでいく──
完結済ですので、是非読んでみてください。
薔薇といっても、そんなに過激描写はありません。




