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魔女の気まぐれ  作者: 岸野果絵
その後
9/15

引退

ロジーナが起き上がれるようになると、クレメンスはロジーナを連れて、都から少し離れた静かな村に居を移した。

その村には温泉も湧き、静養するにはもってこいの環境だった。


クレメンスは第一線を退く旨を周囲に伝えた。

突然の引退宣言に、周囲は慌てて引き留めたが、クレメンスの意志は固かった。


ロジーナもクレメンスの引退に驚いた。


もしかしたら、自分のせいなのかもしれない。

ロジーナはふとそう思った。

もしそうなら、嬉しかった。

だが同時に嬉しくなかった。


クレメンスが自分のことを最優先にしてくれている。

ロジーナにとってこんなに幸せなことはない。

しかし、ロジーナはクレメンスのお荷物にはなりたくなかった。

クレメンスにはクレメンス自身のことを最優先にしてほしい。

クレメンスがクレメンスらしく居てくれるのが、ロジーナにとって一番の幸せなのだ。


「フランクは私の後を引き継ぐのに充分な技量を備えている。足りないのは経験だけだ。私がいつまでも居座っていては、あれの成長の妨げになる」

クレメンスは、庭の景色を眺めながら言った。

ロジーナは驚いてクレメンスの横顔をじっと見つめた。


今までロジーナはあえてクレメンスに引退の理由を尋ねなかった。

もちろん理由を知りたかった。

しかし理由を知るのがちょっぴり怖い気がしたのだ。


「正直なところ、少し疲れたのだ。忙しすぎたのでな」

クレメンスはふっと笑った。

「そろそろ好きなように生きてもいいと思わないか?」

クレメンスはそう言いながら、ロジーナの顔を覗き込むようにみる。

ロジーナはクレメンスの瞳に、ドキッとした。

「当分は引継ぎに追われることになりそうだがな」

クレメンスはポツリとつぶやいた。

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