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魔女の気まぐれ  作者: 岸野果絵
その後
8/15

昏睡

ロジーナはゆっくりと目を開けた。

なんだかとても長い夢をみていたような気がする。

「ロジーナ」

声を聞いた瞬間、胸がギュッと締め付けられるように苦しくなった。

「師匠」

ロジーナはそう言ったつもりだったが、口から出たのは吐息だけだった。

「ロジーナ。私はここにいる」

クレメンスの顔を見つけ、ロジーナはなぜかとてもほっとした。

「心配いらない。私はずっとお前のそばにいる」

ロジーナの手を暖かい大きな手が包み込む。

「安心してゆっくり休みなさい」

ロジーナは言われるままに目を閉じた。



再びロジーナが目を覚ました時も、クレメンスがすぐそばにいた。

「師匠」

何かきいておかなければならないことが沢山あるような気がする。

ロジーナは一生懸命に記憶をたぐりよせた。


「案ずることはない、皆無事だ。火山活動も沈静化している」

ロジーナが問いかける前に、クレメンスがこたえた。

ロジーナのバラバラになった記憶がつながった。


そうだった。

私は火口に飛び込んだんだった。


「お前のおかげでな」

クレメンスの言葉にロジーナはにこっと笑った。

自分の行為が無駄にならなかったことが嬉しかった。


「ところでロジーナ。覚えているか?」

クレメンスの問いに、ロジーナは首をかしげた。


何かがあった気がする。

なぜか思い出せない。

何かがあったのは確かだ。

でも、思い出そうとすると、さらさらと砂のようにこぼれ落ちていく。


「すまない。私の思い違いのようだ。今はゆっくりと休みなさい」

ロジーナはクレメンスの言葉に従い、再び目を閉じた。


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