星の王子さま
青空文庫「あのときの王子くん」で無料で読めます。
ためしに、三十一歳のおれが書く。「星の王子さま」ネタバレあり。
まさか、こんな素敵な話だとは思わなかった。最初の、バオバブでできた惑星を信じる少年はとても想像力豊かで素晴らしいと思った。ぼくはバオバブでできた惑星なんて、思い浮かばないから、きっと想像力のないダメな子供だと思う。だから、ぼくは会話が苦手で、ぼく以外のみんなはきっとバオバブの惑星を信じるような素敵な感性をもった子供なのだろうと思った。
星の王子さまに出てくる実業家が好きだ。この作者はおそらく実業家のことをバカにしていて、立派なのは電灯をつける労働者なのだといいたいのだろうけど、ぼくは実業家の方が好きだ。だって、王様の支配する土地を勝手に所有権を主張しているなんて素敵な反逆罪じゃないか。
もちろん、ぼくは大人になっても、実業家のような大きなことはいえないで、電灯をつける労働者のようになっているのだろうけど。それでも、実業家のような大胆な嘘をつけ柔軟な頭をもった大人になりたいと思った。
星の王子さまは世界で何番目かに売れた本なのだそうだけど、読む前はくだらないお説教が書いてあるのだろうとバカにしていた。だが、実際に読んでみると、奥の深い寓意が読みとれて、素晴らしい。こんな本をもっといっぱい読みたいものだ。
それに、星の王子さまが孤独なところがすごく良かった。星の王子さまに嫉妬したりしなくてすむ。人気者がどうだとか、ダサいとどうだとかいう話にはうんざりなのだ。星の王子さまは幸せなのかどうかもわからない謎の人物だから、読んでも何歳なのかもわからないくらいだから、そこがぼくの心を打った。
星の王子さまは幸せなのだろうか。読んだところ、小惑星に帰れないこと以外は悩みなどないかのようだ。後半に出てくる花が冷たい態度をとってくることが書いてあるけど、星の王子さまも人間関係で困ってるんだ。やはりこれはぼくだけでなく、どんな人気者でも悩む問題らしい。ぼくも、贅沢をいわずに強い大人になりたい。
星の王子さまを読んで、ぼくは社会のこと、故郷を思う心のこと、夢を見る心のもつこと、人との関係が難しいこと、などを学んだ。これは一冊の物語から得られるものとしては、とても大きなものだと思う。こういう心を大切にして、ぼくはこれから生きていこうと思う。この本を読んだことは決して無駄ではなかった。むしろ、なぜ、今まで読まなかったのか後悔するくらいだ。今年の夏は良い読書ができたと思い、感想文を終わることとする。
おわり