ハムレット
世界で一番有名な作家の最高傑作である。決して、小説の最高傑作などではないと思うが、読んでそれなりに面白かったので感想を書く。
まず、この物語には幽霊がでてきて話かけてくる。このことから、この小説がリアリズムとはかけはなれた物語であることがわかる。だとすると、リアリズムを訴えかける人々は文学を何だと思っているのだろうか。彼らはみな、シェイクスピアが嫌いなのか、それとも知らないのかのどちらかであろう。
そして、主人公ハムレットは悩む。幽霊のことばが本当なのか勘違いなのか、についてである。
教えられた情報の真偽を確認するのはとても難しいことである。ハムレットは、幽霊のことばの真偽について悩みつづけるのである。まったく、リアリズムから遠ざかった話である。
主人公は健康な十代後半の若者だから、恋をしている。相手の名をオフィリアという。この作品は、産業革命後のイギリスの大衆娯楽としてつくられたものだから、当然、恋愛要素が物語にからんでくるのである。それは話の主軸では決してない。だが、読者を愉快でハラハラとさせる。
ハムレットは俗な物語である。いわゆる文学といわれるどこかの駄作たちとちがって、まぎれもなく俗な物語である。
恋愛は当然のように、まわりに勘違いされ、読者を感涙させる。いつの時代でも同じ、恋愛小説に必要なのは、まわりの勘違いである。
そして、恋愛の次は決闘が出てくる。まったく、娯楽要素満載である。物語をつくるなら、恋愛と戦いをかならず混ぜろといわれるが、その見本のような物語である。
残念なことに、この物語は決闘の決着は不消化なまま終わってしまう。それが、この名作のあきらかな欠点である。物語はただ派手なだけの登場人物皆殺しによって幕を閉じてしまう。わたしは読んで、後半にはがっかりしたものである。
これが世界一有名な小説家の最高傑作なのだという。ちゃんと笑えて、面白かったことに、人類の文学を見る目が確かだったことを確認できたことに、わたしはいちばん喜んだ。
これで感想を終わる。
おわり。