GO
三十五歳のおれが書く「GO」の読書感想文
在日朝鮮人の書いた自伝的青春小説である。わたしはこれを読んでいる間、号泣しつづけた。わたしがもっとも泣いた小説であり、もっとも優れた純文学であり、もっとも優れた不良小説である。
すべての在日は移民であり、世界中の移民がこれを読むべきだろう。おそらく、韓流ブームはこの本によって作られたものだ。それほど重要な一冊だ。
作者金城一紀も、面白いものは発掘したうちの三割だといってる。わたしの調べた面白いものに遭遇する数である25%と似た統計が出ている。信用できるやつだ。
この一冊において、金城一紀は、太宰を超え、舞城を超えた。この主人公は、低学歴の悪がきであり、それが成功するのはよくないのではないかと思うのだが。現実にわたしに涙を号泣させるだけの小説家になっているのである。認めねばなるまい。
この主人公は、在日の友人が日本人に復讐しようといった時、「おまえたちは理由をつけて暴れたいだけだろ。おれはちがうんだ」のようなことを答えている。これは移民として正しい。
絶賛する。全日本人必読の書であろう。
この儒教の支配する年功序列父親第一主義の社会は、ほんのちょっと前の日本も同じだったのだ。わたしの子供時代は、日本は朝鮮流縦社会とたいして変わらなかった。日本を変えたのは、ダウンタウン浜田の目上のものを恐れないツッコミなどの影響であり、それはアメリカの平等主義を参考にしたものである。
決して、この主人公が嫌っている北朝鮮や韓国は、ひとごとではない。ものすごく、たくさんのことをいいわけしなければ誤解をまねく気がするが、日本人が日本たりえるために、その礎を考えるうえで、ぜひ、人々がこのように考えるものだということを参考にしてほしい。
うまく伝わらないが、このくらいにしよう。
在日の問題はわたしには解決できないが、わたしは日本人である前に、一個のヒトである。それ以上でも、それ以下でもない。
了




