表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/22

インストール

ここから書いた年齢が三十二歳になる。

 面白かった。全部で三つの要素をもつ小説だと思う。それは、学校をサボることと、コンピュータを使うことと、アダルト産業に関わることだ。全部、青春の一部だと思う。三つの要素はどれも面白く、おれの興味を引いた。

 学校をサボることは、映画「ぼくらの七日間戦争」を連想するのだけど、とても不思議なすがすがしさを時々もっているものだ。学校から開放されると、レールにのせられた人生から外れた気分になり、自分が人生の主役であるかのような錯覚に陥るものだ。おれの高校時代は、毎日、遅刻することが学校体制への反抗の現われだった。一年間で、百二十日遅刻していた。教師が通知表に本当のことを書けないので、二十七回に減らして、嘘をついていた。おれの大人との戦いの一部である。おれの青春だ。

 この物語は、女子高生が何の理由も無しに登校拒否を始めるところから始まる。

 下手くそなコンピュータを使い、ちょっとしたバイトを始める。それは、アダルトサイトの風俗嬢の代わりにエロチャットをすることである。性的なことに詳しくない主人公は、たどたどしくもエロチャットを行う。おれは風俗に行く女の話を読むと、すべての女が風俗を経験しているのではないかと猜疑心が沸いて、とても、嫌な気になるのだけれど、おれの感情を無視して、物語の主人公はエロチャットを始める。

 エロチャットの相手をする男たちは、本気でコンピュータの向こうに美女がいると思って、楽しんでチャットをしている。実際に、綿矢りさはかわいいし、この小説の主人公もそこそこ可愛いのだろうけど、エロチャットで話が弾むと面白いだろう。男は、風俗嬢相手でもいいので、女の性に対する本音を聞きたいのである。だから、エロチャットは営業が成り立つのである。

 主人公が処女であり、風俗産業の手伝いをして、処女のまま一人の男と付き合うこともなく終わるこの物語は、とても興味深く面白かった。

 おれが勝手にいってしまえば、女はやはり、アダルト産業を拒絶していないということである。それは綿矢りさだけが拒絶していないだけかもしれない。本番なしのエロチャットだけだけど、風俗は風俗である。でも、風俗の男に女を牛耳られるのが嫌なおれは、あまり、女が風俗に参加する話を聞きたくないのだ。

 でも、面白かった。これは、おれがまだ未熟なのだろう。


おわり


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ