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継母と義妹に悪役令嬢と言われたので、しっかり務めたいと思います!  作者: 穴澤 空@4/11ドアマットヒロイン発売


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25 ドレスの贈り物

「なんてきれいなドレス。ほら、アンヌの分もあるわよ」

「アスミュート様、遠慮がなくなったわねぇ」

「アンヌがアスにも気安く話しているからでしょう?」

「あ……いえ私のことではなく」


 いつものように届いたドレスは、アスミュートの髪の毛のように、青みがかった黒いドレス。それに瞳の色の金色でたくさんの刺繍がされていた。


 これまでは、シェリールルの瞳に合う色のドレスや、髪色に合う色のドレスを選んできていたが、先日のことがあったからであろうか。己の瞳や髪の色のドレスという、独占欲を全面に押し出したドレスを贈ってきたのだ。


「ふふ。まるでアスの髪の毛と瞳の色のようね。美しいわ」

「お義姉様、その感想を是非、アスミュート様に伝えてあげてください」

「え? あぁ、そうよね。でもアスの髪色みたいだなんて、失礼にならない? アスの髪の毛と瞳の色は、本当はもっと美しいのに」


(アスミュート様ぁぁぁぁぁ! お義姉様は無意識デレが酷いですぅぅぅぅ!)


 心の中で叫ぶアンヌには無論気付かず、シェリールルは少しだけはにかんだ笑顔で、ドレスを抱きしめた。


「柔らかいこの生地も、まるでアスの心みたいね」


(お義姉様、本当に?! 本当にアスミュート様のことを、ただの幼なじみだと思っているの?!)


 アンヌのツッコミが止らない。


「……アスが泣いて喜びそうだな」

「あら! お兄様」

「お義兄様ぁ!」


 ドレスを広げていた広間(サルーン)を通りかかったコールリアルは、ちょうどシェリールルがドレスを褒め始めた頃から話を聞いていた。


(シェリールルはもしかして、恋心というもの自体を理解していないのかもしれないな)


 多少は恋愛の小説や、年かさの侍女たちの噂話なども聞かせるべきだったか、などと後悔をするコールリアルではあるが、今更それを思ったところでもう遅いのだ。


「アンヌに届いたドレスはどれだ?」

「私のはこちらです」

「アンヌに良く似合いそうな、かわいらしいドレスなのよ」


 アンヌのピンクブロンドの髪に良く似合う、軽やかなミント色のドレス。一緒に回る予定のコールリアルに配慮したのか、シェリールルと同じ青藍の瞳の色で、刺繍がされている。


「本当だ。良く似合いそうだな。では俺からは、二人にプレゼントとして装飾品を……ん?」

「それが──何故か私の分だけ、ネックレスとイヤリングが届いたの」


 シェリールルはそう言いながら、ドレスとは別便で届いたそのジュエリーを見せる。


 深い金色の石は、シャルリュートという滅多に取れない宝石。それを中央に配し、その周りを小さなダイヤモンドと細い金色の線とシードパールで装飾したペンダントトップ。それをシェリールルの瞳の色のサファイアのチェーンが支える。イヤリングは涙型のシャルリュートだ。


「……やり過ぎだ、あの馬鹿が」

「ね? 私には過ぎたものだわ。お返しした方が良いかしら」

「いいえ! お義姉様。それは喜んで受け取った方が良いと思うの。ねぇ、お義兄様」

「ああ。それは間違いなく、あいつがシャルに着けて貰いたいと思って作ったものだ。受け取ってやれ」


「良いのかしら」

「良いから!」

「良いと思うの!」


 二人からの後押しで、シェリールルは「それなら」とどこか嬉しそうにネックレスを見つめる。


(やはり、シェルはアスのことを特別に思っているのだろう。だが──王太子との婚約を破棄させてから、気持ちを自覚させる方が安全だな)


「お、お義兄様。きっとアスミュート様は、ジュエリーはエスコートするお義兄様に花を持たせる為に……」

「あ、ああ。そうだな。アンヌのジュエリーは俺が用意しよう」

「確かにそうね! だから私にだけ装飾品が届いたのね」


(すまん、アス。これ以上はまだダメだ)

(アスミュート様ごめんなさい。あまりやり過ぎても、不貞を疑われたら元も子もないから!)


 どうやらここに、義兄と義妹の新たな共同戦線が一つ張られたようであった。


「それにしても、このドレスは秋祭りを回るにはゴージャス過ぎないです?」

「あら、アンヌ。これは公爵領で行われる夜会の為のものよ」

「そうなの?! この間秋祭りと言っていたから、てっきり」

「そうか。アンヌにはきちんと説明していなかったな」


 公爵領では毎年9月に秋祭りを開催する。

 その年の豊作を祝い、領民全てが参加する楽しい祭だ。その祭は三日三晩続き、その後、四日目の夜は公爵邸で領内及び近隣の領地の貴族を招いた、夜会が開かれるのだ。


「秋祭りの衣装は、毎年侍女たちが作ってくれるのよ。我が領地の伝統衣装なの」


 その言葉に、近くにいた侍女が衣装を見せてくれた。


「かっ! かわいい! 民族衣装萌え!」

「民族衣装萌え?」

「あ、お義兄様お気になさらずに」


 すでに多少の不可思議言語について、シェリールルは軽くスルーできるスキルがついている。だが、義兄にはまだその機能が付いていなかった。


(かわいい! かわいいが過ぎる。でもまって……? この衣装、なんだか見覚えが……)


「この色合い、この装飾。見たことがあるのは……」


 伝統衣装は、短めのボレロの後ろ側から手首にかけて、美しい刺繍が施された手甲が伸びている。それを手首でリボン状に結びつける形だ。スカートはハイウエストのベルト部分にやはり刺繍が。エプロンのように垂れ下がった布の縁には、幅広のレースが付けられていた。スカート部分は濃い青色の布で、どうやらそのスカートは何色でも良いらしい。


(ふふ。また何か思いついたのかしら? それとも……もしかして?!)


「お義姉様! 自称聖女が現れるかもしれません!」

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