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継母と義妹に悪役令嬢と言われたので、しっかり務めたいと思います!  作者: 穴澤 空@4/11ドアマットヒロイン発売


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18 愛しているとおっしゃった?

「先ほど、私がアメフォード様に男爵家のご出自であることを確認したのは、どのくらいの期間、どのような授業を受けられたかを知りたかったからです」

「じゅ、授業?」

「ええ。貴族の家格というものは、それに見合った為すべき事がつきまとっている、というのは、ご存じかと思いますが」


 そこまで言うと、向かい側の令嬢たちが少々困惑した表情を見せていた。……アメフォードも含めて。


(なんだか、少し前にも似たような話をした気がするわ)


 そう。

 エルデアール・グァミルア伯爵令嬢のお茶会でのことだ。

 あれから彼女たちは、シェリールルの王太子妃教育の合間を縫って開催される、公爵家のマナー講習にきちんと参加してくれていた。


「男子爵家と伯爵家と公侯爵家。求められるマナーも違えば、知識も異なります。もちろん、就いている職務によっては、伯爵家の出自でも、侯爵家のようなマナーや知識を求められることもありますが」


 ここでようやく、アメフォードはシェリールルの言いたいことが理解できた。

 男爵家の娘だからと下に見られたわけではない。男爵家の娘が侯爵家の娘として必要な教養を持っているのかを、確認されたのだ。


 侯爵家の令嬢となったからには、侯爵家の娘としてのマナー、知識が必要である、と。そしてそれは、父親が彼女に求めている、王太子の婚約者の座を奪うということに関しても、必要な条件でもある。


「アメフォード様。王太子妃ともなれば、突然のトラブルにも、予期せぬ会話にも、常に冷静に対応せねばなりません」

「ええ、確かに仰る通りです」


 シェリールルの言葉に、アメフォードは素直に従う。その様子を、アスミュートとアンヌはつぶさに観察した。先ほどまで、王太子の婚約者としてのシェリールルを敵視していたのだ。急に大人しく話を聞くなどとは、うさんくさいことこの上ない。


 だが、シェリールルはそれすらも織り込み済みなのか、一切を気にせずに話を進めていく。


「なので、明後日よりアメフォード様、そしてご同席の皆様方を、文官たちのディスカッションにご招待いたしますわ」


 そう言うが早いか、すぐ近くに控えていた部屋付きの使用人に、シェリールルは何事かを言いつける。すぐさま使用人は部屋から出て行き、その数分後、一人の男性を連れてきた。


 銀髪に碧い瞳の、見目の良い彼は、齢25のドゥランディ博士。現在王都の街作りの再計画を頼まれている、建築博士だ。子爵家の出だが、次男だった為に、家督を継ぐことはできず勉学で身を立てた。若いが次世代を担う有望株と、巷では言われている。ちなみに独身だ。


「夜会の最中にごめんなさいね、ドゥランディ卿」

「いえいえ、シェリールル嬢のご用であれば。今日のお衣装も、ご令嬢に非常にお似合いですな」

「ふふ。お上手だこと。今日は一つお願いがありましてね」


 ドゥランディ博士とシェリールルの親しげな会話に、アスミュートは腹の中では業火が煮えたぎっていた。


(俺のシェルに、何親しげに話しかけてるんだよ。適度な距離を取れ。近すぎる!)


 俺のシェルと言っているが、彼のものではない。シェリールルは未だ王太子の婚約者であるし、彼女は彼女自身ものである。だが、彼のシェリールルへの執着を考えれば、仕方がないのかもしれない。


 そして一方のアンヌと言えば、目が輝いていた。


(お義姉様、そのドゥランディ博士は──隠しキャラです!)


 そんな思惑だらけの周囲を置き去りに、シェリールルは話を進めていた。


「ドゥランディ博士が明後日から開催する、王都街計画のディスカッションに、アメフォード・ルディリアン侯爵令嬢と彼女たちを参加させて頂けないかしら?」

「なんと、それは素晴らしい! 新しい街作りには、女性の目線も大切です。しかも次代を担う世代の女性方! これは楽しみですね。大いにディスカッションで発信してください」


 ドゥランディ博士は嬉々として了解し、彼女たちの一人一人の名を確認していくと、すぐに名簿に反映し、明日にでも参加証を家に送ると告げて部屋を辞していった。


「と言うわけでぜひ皆さん、参加者百名の会議で発言し、その発言を女だからと言うどうでも良い理由で潰されつつ、それを打ち払い意見を通す経験をなさってくださいませね」


 一体何が起こったのか、ついていけていないアメフォードたちに、丁寧にディスカッションに参加する趣旨を告げれば、全員顔面が蒼白となった。


 それもそうであろう。


 貴族の令嬢として、蝶よ花よと育てられ、大勢の前で自分の意見を言うこともなければ、それをそれほど大勢の前で理不尽な理由で否定されることも今まではなかったのだから。


 だが、シェリールルの話を聞いて、アメフォードは一つの答えを導き出したのだった。


「シェリールル様」


 彼女は、立ち上がりシェリールルをじっと見る。

 警戒をしたアスミュートとアンヌを目で制し、シェリールルは彼女の瞳を見つめ返した。


「シェリールル様。──あなたは王太子殿下を本当に愛しておられるのですね」

「……は?」

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