表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
継母と義妹に悪役令嬢と言われたので、しっかり務めたいと思います!  作者: 穴澤 空@コミカライズ開始/ピッコマ連載完結!掲載中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/13

11 悪役令嬢であるという噂を流すのはいかが

 馬車は公爵家の門を抜け、長いアプローチを進む。

 美しく整えられた木立は、彼女たちの帰還を喜んでいるように、風にさわさわと揺れた。


「お義姉様が私をいじめているという、作り話を? 噂に?」

「そう! そうすれば、私はあなたをいじめる非道な女で、そんな女を王国の后にするわけにはいかない、なんて王太子の言い訳にもなるじゃない?」


(お義姉様。それはまさに、わたしがヒロインだった場合の王太子殿下の発言です)


 アンヌの心の声を知ってか知らずか、シェリールルは、はたと何かに気付いたように、彼女の顔を見る。


「ねぇ、そういえばアンヌもヒロインなのよね? もしかして、あなたを本当にいじめて、王太子に断罪されるパターンもあるってこと?」


(ああーっ! お義姉様、ビンゴですっ!)


 シェリールルがあまりにも乙女ゲームの世界を受け入れすぎていて、アンヌはひたすら顔を縦に振って頷くことしかできない。

 馬車が公爵家本邸の前まで辿り着くと、フットマンが扉を開ける。二人はフットマンのエスコートで順番に降りていく。


「シェル、アンヌ、お帰りなさい。シェルにお客様よ」


 玄関ホールには、二人が門を入った頃に帰還の連絡を受けていた、シェリールルの継母で、アンヌの実母であるレジェスが待ち構えていた。

 どこか興奮した様子でそう告げるので、シェリールルとアンヌは顔を見合わせる。


「お母様、なんでそんなに浮かれているの?」

「あら! あらぁ。わかる? 気付いちゃったかしら」


 おっとりとした口調で、両頬に手を当て上気させる母親に、アンヌは少々引き気味だ。


「シェルのお客様、とびきり素敵な男性なのよ」



   *



 落ち着いたしつらいの応接室には、一人の少年がいた。青みがかった黒髪を後ろで緩く一つに束ね、フレームレスの眼鏡をかけた彼は、美しい所作で紅茶を飲んでいる。


「あ。やっぱりアスだったのね」


 アス、と呼ばれた彼はシェリールルと、彼女の双子の兄コールリアルの幼なじみ、アスミュートだ。


「やっぱり、とは?」


 手にしていた紅茶を皿に戻し、ゆったりとした動きで目の前に座った彼女を見る。


「お継母様が、『とびきり素敵な男性』が私を訪ねてきている、って言ってたの」

「え……。シェルは俺がその『とびきり素敵な男性』に当てはまると思ってくれたのか?」


 思わず少し腰を浮かせてしまうアスミュートに、シェリールルは屈託のない笑みを浮かべ答えた。


「私を訪れる男性なんて、王太子かあなただけだもの。王太子はとてもとても『とびきり素敵な男性』じゃないでしょ? まぁほとんど訪れることもないけど」


 だから消去法? などと可愛らしく小首を傾げながら言う彼女の姿に、浮かせた腰を、そのままどさりとソファに戻すことしかできない。


「だよなぁ。シェルだもんなぁ」


 片手で前髪を掻き上げながら苦笑するアスミュートを、シェリールルは不思議そうに見遣った。


「コールは今、領地よ」

「知ってる。今日はシェルに会いに来た」

「私に? 何かあったの?」


 アスミュートは周囲をさりげなく見回す。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ