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□ 2-36 魔王城の夜ふたたび

BGMはお色気音楽の定番Harlem Nocturne / Sam Taylorで。

https://www.youtube.com/watch?v=vDfZAJ1M4do&t=19s


 再び魔王城の夜がやってきた。

 ジャスミンに送り出され、俺は女王メルジーヌの寝室にて二人きりになっている。


 昨晩はメルジーヌとミラがふて寝してしまったので事なきを得たが、今晩はどうなるのか。

 “お姉さま”とのめくるめく……いや、貞操の大いなる危機が訪れてしまうのであろうか。


 黒いネグリジェ姿のメルジーヌがベッドに座り、

 俺は借りてきた子猫のようにベッドの端っこで縮こまっていた。


「アレン、こちらへいらっしゃい」


 手招きされ、俺はそろそろと近づく。

 その中身は、ミラではない。

 魔王城にいる間は、メルジーヌが表に出ることになっているのだ。


 メルジーヌとは今後の協力について合意が得られ、もはや命の危険も去った。

 この数日、俺はわりと頑張ったし、自分へのご褒美があってもいいと思うのだ。

 ……となると、お、お姉さまの、い、イケナイ手ほどきを……受けちゃってもよいのではないだろうか。


 俺もお年ごろの男子だ。

 ことさらに聖人君子ぶる必要もないだろう。


「……はぁい」


 俺は大いなる期待と不安の入り混じった心境でメルジーヌの隣に座る。

 これから夢のようなイケナイ時間が始まるに違いない。


 メルジーヌと視線が合った。

 俺はニッコリと微笑みかける。


「うふふふ……」


 メルジーヌはご機嫌だ。

 俺を引き寄せるとぎゅーっと抱きしめてきた。

 柔らかな肌が俺に密着する。


 さあ、いよいよ桃源郷へと出発する時間がやってきたようだ。

 俺の鼓動は高まり、鼻息も荒くなってきた。


「ふふふ……今夜は素直な子になったのね。

 でも今朝、ミラと合意しましたわ。

 残念ですけれど、キモチイイコトはお預けですのよ」


「えーっ!」


 期待していたのに、この展開はあんまりだ。

 せっかく盛り上がった気分が一気にしぼんでいった。


「でも『ぎゅー』と『ナデナデ』と『ほっぺにチュー』はOKということですわ」


 そうですか。

 まあ、例の条件『アレンを独り占めしないこと』がありましたからね。

 仕方がないところか。


「アレンから手を出すのも禁止ですわ。

 いかがわしいことをしたら、教育的指導ですわよ」


 俺から手出しもダメなのか。

 それにしてはメルジーヌが妙にご機嫌なのが気になる。

 サキュバスなら、むしろ男性を……アレコレしたいのではないのだろうか。


「ですからアレン、今夜は一緒に寝ますけど、清らかにいきますわよ?」


「……へい。いや、はい」


 淫魔(サキュバス)が“清らか”とは?

 猛烈に違和感があるが、ミラとの合意事項ならば仕方がない。


「ではこちらへいらっしゃい」


「ふぁい」


 俺がメルジーヌに引き寄せられてベッドに横たわると、すぐに後ろから抱き枕のように手足を絡みつけられる。

 これはどういうことか。


「あ、あの……メルジーヌ、さま?」


「うふふふ……これは『ぎゅー』ですわ。

 合意の範囲内でしょう?」


 背中にはやわらかい二つの感触。

 鼻先には甘い香り。

 手足は密着し、耳元には熱い吐息――


 こ、これは……清らかどころではないのだが。

 さらにメルジーヌは俺の身体をサワサワし始め、耳のあたりに熱い吐息が吹き付けられる。


「さあアレン、こちらを向きなさい」


 言われるままに身体を回転させると、メルジーヌの豊満な肢体が眼前に広がった。

 ―――それは薄い一枚の布に覆われた桃源郷であった。


 これはアレだ。禁断の果実というやつだ……

 しかし、出されたもの食べるのが礼儀だろう。

 据え膳食わぬは――なんとやら。

 

……俺の理性は一瞬で吹き飛び、本能のまま目の前の果実に飛びついていた。

 ああ、なんてかぐわしい果実だ。

 もぐもぐもぐ。ああ、夢のようだ――


 その瞬間、頭に鋭い痛みが走り、いきなり現実に引き戻される。

 またもや俺の頭蓋骨がミシミシいってる。


「いだだだだっ!? あ、頭が……!

 ちょ、ちょっと助けて……」


 メルジーヌが俺の頭に爪を立てていた。

 昨晩に引き続き、またこの展開か。


「うふふふ……清らかにって言ったでしょう?

 おいたは、ダ・メ・よ」


 爪の力を緩めつつ、嬉しそうに笑うメルジーヌ。


「さあ、清らかに寝ましょう。

 わたくしはぎゅーとナデナデしますから、アレンはおとなしくしてなさい」


 な、ななな、なんですと……

 こっ、これは新手の拷問ですか~っ!!


 その後もメルジーヌは俺を抱きしめ、撫でまわして弄び、

 俺がたまらず手を出せば頭蓋骨をミシミシ言わせて制止してくる――という

 倒錯のループが続いた。


「おほほほほ……こうして楽しめるなんて最高ですわ。

 アレンはわたくしの下僕になりたいマゾヒストなんでしょう?」


 ……こうしてメルジーヌが眠りにつくまで、俺は拷問のような夜を過ごした。

 翌朝、俺は干物のようにしおれて発見されたのであった。


これで第2章は完結です。

全55エピソード、約12万字——我ながら長い旅となりました。


この作品は“なろう”では2作目ですが、実は執筆を始めたのは約5年前。

初めて本格的に書き始めた小説でもあります。

拙い部分も多かったかと思いますが、それでもここまで読んでくださった皆さまには、心から感謝いたします。


正直に申し上げると、数値面では厳しく、2025年12月19日現在のブックマーク登録は1件と、完全に爆死しております。

かなりの時間を費やして書いてきただけに、かなり堪えたのも事実です。


原因については、設定盛りすぎ、前振りが長すぎ、ヒロインが老婆だった、ストーリーの焦点が定まりにくい……など、思い当たる点はいくつもあります。

物語の構造そのものに無理があったかもしれません。


そのため、この物語はいったん第2章で区切りとし、ここで完結とさせていただきます。

ただし、もし今後ブックマークが増えるようなことがあれば、その励みを胸に、

第3章:メルジーヌ(ミラ)とアレンの“聖王国乗り込み編”

を執筆していければと思っています(プロットはあります!)


また、本作に関するご意見・ご指摘(「ここが分かりづらい」「こうした方がもっと良くなる」など)がありましたら、ぜひ教えていただければ幸いです。励ましのコメントも、もちろん大歓迎です。


これまでお付き合いくださり、本当にありがとうございました。


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