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ファンタジーワールドにSFが落ちて来た!  作者: タカハシあん
第5章

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第98話 雷管口

 一通り説明を受けたら問題の雷管口ルクシンへとやって来た。


「よくここまでの道を作ったものだ」


 作業員が直せるものではないからほぼ密封されているもの。装甲板を剥がしたり、配管を外したりしないといけない。ライク班が寝不足になっていたのも当然だ。八時間労働していたらまだ装甲板も剥がせてないだろうよ。


 ただまあ、人一人通れるくらいなので、雷管口ルクシンまで行くのに一苦労だがな……。


「収納の鞄があってよかったよ」


 中から水筒を出して水を飲んだ。


「ジーニーも飲む?」


「いただくよ」


 金属骨格だからか、ジーニーに柔軟性があまりなかった。どうも可動限界はあまりよろしくないようだ。屈伸で脛の半分までしか行かなかったよ。


 一息ついたら問題の雷管口ルクシンを見た。


「……あーこれは酷いね……」


 苦労して辿り着いた果てに絶望を見せられて、よく絶望に打ちひしがれなかったものだ。さすがだよ。


「この状況を報告して、ボクを確保しようとしたわけだ。優秀だな」


 手順は間違いはしたが、判断は間違ってはいない。艦長……ではないな。もっと集まった者たちを観察しておくんだったよ。


「どうだい?」


「うーん。強敵だね」


 見ただけでわかる。とんでもない金属だと。


 しかし、強敵だからこそ屈服させたい気持ちがムクムクと湧いて来る。錬金鋼術士の血がぐわーっと湧いて来るぜ!


 愛用の槌を握り、まずは周りから叩いて行く。


「うほー! びくともしねー!」


 一回叩いただけでもわかる。神代の金属にも勝るものだわ!


 そこからは一心不乱だ。叩いて叩いて叩き捲り、気が付いたら横になっており、ライクに膝枕されていた。


「……大丈夫か?」


「大丈夫。どのくらい眠っていた?」


「軽く十時間は眠っていたよ」


 そ、そんなにか。危うく死ぬところだったよ。


「まあ、二十時間は打ち続けていたけどね」


「鞄を」


 ジーニーに収納の鞄を取ってもらい、中きら食べ物を出してがっついた。


「ふー。強敵だった」


 魔力消費がとんでもなかった。一回打つ度に命を持って行かれそうだったよ。ボク、よく生きていたものだ。


「ジーニー。食事をここに運んでくれる? 戻るのも惜しいから」


 さすがにトイレには戻らせてもらうよ。ボクにも羞恥心はあるからな。


 腹が落ち着いたら叩いたところを見てみる。


「まったく変化がない」

 

 だが、それでこそだ。あれだけのことで元に戻るなら興醒めってもの。挑み甲斐がないってものだ。


 何度も擦り、金属の肌触りを確かめた。


「いいね、君。神に挑んでいる気分だよ」


 屈服させたい──じゃなくて、必ず修復させてやる。ファンタジーの底力を見せてやるよ。ウフフ。

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