第97話 エベター(上位種)
それからライクの教育が始まった。
幼少の頃から学び、頭にチップを埋め込んでもいないのでわからないことは多々ある。いや、ほぼチンプンカンプンだ。こんなのアインシュタイン先生でも理解するのに十数年は掛かるだろう。
「あたしらもすべてを理解しているわけじゃないよ。建造されるのは首都星の衛星。そこに入れる者は上位エベターだけ。あたしらは許可された情報と技術しか与えられないのさ」
階級社会か。末端の兵士など使い捨てなんだろうよ。まったく、人間とは幸せになれない生命体なのかね?
二日ほどアルレシアのことを教えてもらったら、動力機関へと連れてってもらい、反重力炉を見せてもらった。
まあ、反重力炉が鎮座しているわけでもなく、分厚い容器の中に入っているのでこれが反重力炉だとはわからない。ここはブラックボックスみたいなもので、壊れてしまえば誰にも直せないものらしい。
「ここは特に頑丈だ。艦が爆発しても反重力炉は残ることもあるよ」
「反重力炉が暴走してブラックホールになったりするの?」
そんなSF物語を読んだことがある。
「意図的にやらなければ無理だな。かなり厳重に制限されているから」
よかった。この星がなくなることはなりそうだ。
次に雷管口を見せてもらった。
「小さいね」
ドラム管サイズの筒だった。
「雷管は四段階になっている。まずは小さく爆発させて次の雷管を発火させる。それを繰り返して最終の雷管を発火させるのさ」
なるほど。火力発電所もまずは水力発電所の電気で動かすと聞いたことがある。それと同じか。
「基本、機関部は人が入って修理するようなものじゃない。戦闘の合間にどうこうできるものじゃないし、動力機関が壊れるならそれは死んだも同然だからね」
「ナノマシン──超極小機械とかないの?」
「マルシルだね。あるにはあるけど、費用対効果が釣り合わない。壊れたら廃棄。また新しいのを造って投入が安いのさ」
戦争でも費用対効果が出て来るんだ。まあ、戦争なんて消費行動の権化みたいなもんだしね。
「どうせ壊れるならこれが壊れてくれたらよかったのに」
このサイズならチェーンブロックで取り外せれるのにな。
「雷管の予備は……ないか。直す前提がないんだから」
「そういうことだ」
「つまり、雷管口と雷管を少しずつ直して行かないとならないわけか」
直す前提がないのなら取り外すことも考えていないってことだしな。
「絶望的状況だったわけか」
「あたしらも死にたくないって思いはある。希望があるならそれに賭けたいのさ」
そういう人間らしさがある限り、人間は次の段階に行けないんだろうな~。




