第96話 でぇーベテラン
「やっと来てくれたー!」
次の日、ライクに連れられて機関部の待機所……と言っていいのかわからない物置に来たら、死屍累々な子たちにまとわり付かれてしまった。
「ごめんね。わたしたち、もう何日もまともに眠ってないのよ。火急速やかに修理しろと命令されているから」
さすが軍隊。人権などないようだ。
「よし。ボクが責任を持つから皆シャワーを浴びてぐっすり眠りなさい。寝不足でいい仕事が出来るわけないだろう」
お前が言うなとか言われそうだが、日頃のボクを知る者はいないのだから言ったもの勝ちだ。
携帯端末を使ってハーリに連絡を入れる。
「どうした?」
「ライク班の者を一日休ませるから、機関部の情報をボクの端末に送ってくれる? 一日かけて情報と見比べながら機関部を見て回るからさ」
「わかった。ジーニー6を説明役に送る」
反対されると思ったらすんなり了承されてしまった。
「ボク、期待されてる?」
「もちろんよ! 金属を叩くだけで修正出来るとか夢のようよ! 整備する者なら望む力だわ!」
そ、そうなんだ。まあ、どんなに技術が発展しようと折れた金属を元に戻す腕力もなければ超能力もない。道具でも使わなければ不可能だ。
細かい部品なら交換すればいいが、道具を使ってミクロの領域まで近付けないとならないとダメな部品もある。整備していたら簡単に直る力が欲しいとか妄想することもあるだろうよ、ボクも合金を作れる能力が欲しいと何度となく思ったからな。
しばらくして三十歳くらいに見える女性がやって来た。
「結構、長く生きている人?」
なんか気配が他とは違う。妙に眼力があり、でぇーベテランを思わせる佇まいだ。
「ただ、古い人間なだけさ」
うん。この人はでぇーベテランだ。
「あんたも古い人間みたいだね。あたしにはわかるよ」
「やっぱりわかっちゃうもんだね。あなたよりは長くないかな? 精々、あなたの半分にも届いていないんじゃないかな?」
これはボクの勘だ。この人、百年とか優に超えている。艦長より年上だ。
「半分でも凄いね。生身で半分も続けれるとか伝説の中でしか知らないよ」
「生身でも技術の伝承は出来るものさ。そうやって未来に繋げているんだよ」
「まさに伝説の世界だ。階位を落として辺境艦隊に来た甲斐があるってものだ」
この船、辺境艦隊に所属していたんだ。なるほど、それで古さが感じ取れたのか。
「こちらは遥か未来の技術を学べることにわくわくしているよ。よろしくお願いします!」
古い人間なら通じることも多々あるはず。まだ理解出来る技術なら身に付くだろうよ。
「ボクは、レイ。錬金鋼術士だ」
「ジーニー6だ」
グージーに握手なんて文化はないのに、ボクが手を出したらしっかり握ってくれた。




