第91話 がっかりシャワー
肉を食べたらお茶を飲みながら甘いものを食べる。
「よかった。肉を食べたら元気が出たみたいだね」
落ち込んでいた三人の顔に精気が戻っていた。食は活力の源は本当だな。これならもっと買っておくんだったよ。
「うん。レイの顔を見たらほっとした」
「どんなときも落ち着いているからこっちまで安心するんだよね」
まあ、前世と今生を混ぜればランジンとロレンソの四倍は長く生きている。社会の荒波を越え、ファンタジーな世界に生まれてしまえば胆も座るというもの。恐れず今を楽しめだ。
「皆が落ち着けるならなによりだ」
工房にいたときの笑顔が戻ればなにより。女の子は笑っているのが一番だ。
「ここにお風呂はあるの? シャワーでもいいけど」
「それなら部屋にあるわ。ここは元々八人部屋で、シャワーは付いているところだから」
広いな~と思ったら八人部屋なんかい。ベッドは四つしかなかったし。
「ここの部屋の人は? 戦死したの?」
「ええ。前の戦いで二割が戦死したわ」
二割か。この船のサイズなら百から百五十のシャレインは載せられるはず。他の戦闘機やアルシース、シャトルなんかを考えたら百が精々かな?
仮に百として二割だと二十は失ったことになる。一空母としては失いすぎではないか? 一艦隊がどのくらいの規模かわからんからなんとも言えんがさ。
「アルレシア以外の船はあったの?」
「たぶん、アルレシアだけがこの星に落ちたと思う。情報をもらえてないからはっきりとは言えないけど」
艦長も他の船がいるとは言ってなかったし、いたのなら救難信号は放っているはず。それがないのなら遠くにいるか、仲間の船も壊れているか、ジージーが言ったとおり、アルレシアだけか、だ。
「じゃあ、今は騒いでも仕方がないか。明日のために鋭気を養うとしよう。シャワーを浴びてくるよ。ジージー、使い方教えて」
宇宙に出たシャワーはいかなるものか。期待に胸を踊らせてシャワー室に向かったら蛇口を捻るタイプのものだった。
「なんか安っぽいシャワーだ。なんかこう、高機能なものが付いているんだと思ったよ」
温度調節もレバー。どこぞの安ホテル並みのものだった。
「シャワーにそんなものいらないでしょう」
どこぞの外人みたいな考えだな。元日本人としては不満でしかないよ。ボディーソープとシャンプーはどこだ?
「これで洗うのよ」
壁のボタンを押すと、シャワーが泡に変わった。こんな仕様に誰がした!? 髪も体も同じものかい!
「これ、どこも同じなの?」
「そうよ。油でも血でも落としてくれるわ」
はぁ~。宇宙技術に幻滅だよ……。




