第87話 エリオ(旧AI)
「アルレシアで金属加工は出来ないってことだ」
「工場で生産されるものだからな」
乗っているのは兵士(消耗品)。壊れたら廃棄、ってことなんでしょうよ。嫌な時代だね~。
「雷管口ならかなり強度はありそうだね。鉄が溶けるような温度では溶けたりしないか。機関部の作業員と話をさせてよ。直せなくても仕組みを知る者からいろいろ学びたいからね」
基礎を教えてもらえればさらに宇宙技術を使えるようになる。このチャンスは逃せんでしょう。
「あと、アルレシアの基本情報を携帯端末に入れて、こちらにもらえる? グージーの文字は読めるし、基本的専門用語は覚えたからさ」
元の世界のものにたとえるのは難しいけどさ。
「わかった。これを使うといい」
艦長さんが単行本サイズの携帯端末を渡してくれた。
「結構、古い携帯端末かな?」
「三百年前くらいに使われていたものだ。今は頭に埋め込まれたチップを使っているからな」
「ボクにはちょうどいいかも」
タッチパネルのほうがまだ理解し易い。死ぬ前、出たばかりのスマートフォンを使ってたんだぜ。
ボクの指にも反応してくれ、携帯端末に入っている情報を見て回った。
ほんほん。ふんふん。なるほどなるほど。パリオ(AI)の前に使われていた旧AI、エリオも悪くはない。検索機能もいいね~。
「失礼します! ハーリ2です!」
ん? 作業服っぽいものを着た少女が現れた。
「レイ。動力機関部を総合指揮をするハーリ2だ。ハーリと呼べはよい」
「ハーリ、よろしく。上の命令だから割り切って協力し合おうか。そちらもこのままこの星で朽ちたくないだろう? この星に残りたいってんなら別だけどさ」
新天地で人間らしい暮らしをするのもいいかもだよ。
「ハーリ2。これは命令だ。レイと協力して直せ」
「わかりました!」
そう言えば、グージーって敬礼らしい敬礼ないよな? 頷くのは見たことあるけどさ。簡略化されたか?
「レイ。まずは作業服を支給します。艦長、レイに認証コードを与えてもよろしいでしょか?」
「ああ、そうだな。動力機関部の認証コードを与えてくれ」
身分証明書みたいなものかな? シャレインにも登録制だったし。
「動力機関部の部屋までかなり歩くから覚悟してね」
また歩くんかい。大きい船の弊害だな。
ため息一つ吐いてハーリのあとに続いた。
「レイ。本当に直せるの?」
フランクなしゃべりをするってことは、そんなに階級が高くないってことなのかな?
「金属ならね。ただ、いきなり未知の金属に手を出すわけにはいかないから徐々に下の金属から理解させてもらうよ。とっても重要なところだからね」
「技術者ってのはどこも同じなのね。拘りが強いんだから」
その技術者とは仲良くなれそうな気がする。いろいろ教えて欲しいものだ。




