第86話 ハイブリッド
「それで、ボクの要望は飲んでもらえるかな?」
ルービーは飲んでくれたが、艦長はどうなのよ? ジージーの解放と罪を不問にしてくれるのかな?
「もちろん、そちらの選択は尊重するよ。軍規違反は処刑ってのも見たからね。まあ、そのときは協力することはないけど」
交渉決裂。さようら~、だ。
……血を見るさようならは極力避けたいが、そちらが選ぶなら仕方がない。やるべきことをやるまでだ……。
「よかろう。そちらの要望を受け入れ、ジージーの罪は不問。釈放しよう」
「一緒に連れて来たこの星の者もお願いしますよ。同胞を守った者たちなんですから」
「わかった。解放しよう」
「それを文章にして、なんてことをしても無駄だから、お互いの利益が破綻するまで、でいいかな? そちらも異文明と約束するのはこれが初めてだろうからね」
どうせ未開地の猿ぐらいにしか思ってないだろうし、利用出来るものは利用する、くらいの考えだろう。
こちらはそれで構わない。無知蒙昧でいてくれたほうがこちらとしてありがたいからな。
「交渉成立の証として三人と同じ部屋を用意してくれる? あと、たまに帰る必要があるから整備したシャレインをこちらに渡してよ。ダメならサルシャでも構わないよ」
船と船を行き来するシャトルみたいなもの。大気圏内も飛べたりもする。武装はないけど、燃費はいいみたいだ。
「よかろう。レイにサルシャを渡そう。ただ、エレシクラが切れれば飛べなくなるのを忘れないことだ」
「問題ないよ。ハイブリッドみたいだからね」
ガスと水を混合して動くタイプの動力機関のようだ。もしかしたら錬金術でなんとかなるかもしれない。長く使うならシャレインよりいいかもな。
「ハイブリッド?」
「二つの素材で動く動力機関のことだよ。ボクがいた世界の技術さ。惑星の衛星までは行けた文明レベルの技術だけどね」
「……その程度の技術なのか……」
「そう。その程度の技術だが、この星の技術と合わさるとシャレインすら直せるようになるんだよ。そういう意味ではボクもハイブリッドだね」
金属に関しては、だけど。
「ジージーの情報からボクが使えるんじゃないかと踏んだんでしょう?」
「……そうだ。交換出来れば問題はないが、それをしようとすれば工廠に入らなければならない」
「つまり、動力系かエネルギー系に損傷が出たわけだ」
たぶん、かなり危険な場所なんだろう。現住民の命など軽く見てそうだからね。
「ああ。反重力炉の雷管口が歪んだ」
説明から点火プラグなようなもので、反重力炉を起動させるための口が不時着の衝撃で負荷が掛かり、口内で爆発。なんとか取り出せたものの、口内が歪んだそうだ。




