第82話 宇宙へ そして、大気圏突入
アルシースのブリッジに立ち、オペレーターたちの動きを見せてもらった。
「おもしろいよね。これだけの技術をありながら人が操縦するんだから。全自動も出来るでしょうに」
SFアニメを観ているかのようだ。
「全自動にして酷い目にあった歴史があるのよ」
「人工知能の反乱とか?」
どうやら当たったようだ。ルービーがムスっとしている。スカイなネットの時代があったのかな?
「グージーやルクセルが次のレベルに至るのはまだまだ先ってことか。辛いよね、生命体ってのは。立ち止まることが許されないんだから」
どんな時代でも生きるのは大変だが、ボクはいい時代に生まれてばかりだ。次も転生出来るのならいい時代に生まれ落ちたいものだ。
「ルービー1。シャレイン、飛行可能です」
「損傷箇所は?」
「左舷姿勢噴射口が何ヶ所。細かい動きは出来ませんが、航行に問題はありません」
あー、そんなにだったから後回しにしちゃったわ。
「機材も部品もなしによく直せたものね」
「無から有を生み出すことは無理でも、あるものからあるものに作り変えることが出来るのが錬金鋼術さ。ただ、それを生み出すエネルギーは自身が生み出さないといけない。シャレインを完全に直すには十年は必要かもね」
魔力は人よりあっても機械が生み出す電力には負ける。所詮、人力ってことよ。
「……それでも凄まじいわね……」
「船には技術者が乗ってなかったの? 整備士、ではなくて?」
「乗ってはいない。我々は突撃艦隊の一翼だったからな」
まあ、技術者が前線に出ることはないか。修理程度なら整備士に任せればいいんだし。
「ルービー1、発進します」
「了解」
操縦士がレバーを押すとモニターに映る視界が動いた。操縦は三角のハンドルを回すのか。思念操作ではないんだな~。
「もしかして、アルシースって古い船なの?」
「百年前のものだ」
「使い回されて、ルービーたちに回って来た、ってこと?」
「……そうだ……」
ルービーたちもグージーの中では下のほうなんだろうな~。身分、いや、階級社会なのかな?
それでも前世とは比べるのもおこがましい技術力差。あっと言う間に宇宙へと出てしまった。
「おー。異世界に転生したら宇宙に出れたでござる」
まさかファンタジーな世界に生まれて宇宙に出れるとは。世界観台無しだな。
宇宙に出たのは一瞬。すぐに降下を始め、海へと落ちて行った。
大気圏突入。降下軌道計算とかはAI──パリオがやっているようで、モニターに表れた図に合わせて操縦しているようだ。
映像処理されているのか、モニターが赤くなることななく、青い海を目指している。
「海に落ちたの?」
「いや、島だ。獣ばかりのところでうんざりだ」
「それは獣のほうでしょう。いきなり鉄の塊が空から落ちて来たんだから」
人にすら雑に扱っているのだ、獣に遠慮したりはしない。調査に出たヤツは敵として殺し回ったんだろうよ。




