第79話 アルトリューム通信
宇宙の不条理を前にして、ルービーは黙ってしまった。
「ふふ。まずは仲間を回収して来なよ。殺してはいないし、ちょっと金属骨格を外しただけだからすぐに直せるよ」
「わ、わかった。すぐに回収するよう命令を出すとしましょう」
「その間にアルシースを見ていいかな? シャレインとはまた違った技術に興味津々なんだよね」
たぶん、こっちのほうが技術的に上を行ってそうだ。戦闘機や戦闘艇じゃないから武装はそんなに強いものは積んでなさそうだが。
「あ、操縦服もよろしく」
「……こっちよ……」
と、ナーズに案内してもらい、更衣室的なところにやって来た。
「案外、アナログなんだ」
自分で着替えなくちゃならんのかい! 自動じゃないんかい! なんかこう、蒸着! 変身! マジカルチェンジ! みたいなのを期待してたのに! がっかりだよ! いや、着るけどさ!
ロッカーもなんか安っぽい造りだ。戦争で予算を削られているのか? 末期か?
「これを着て構わない」
「誰か着てたヤツ?」
「ああ。戦死したヤツのだ。クリーニングはされている」
縁起悪いな~。まあ、着るけど。
ジージーが着ていたものとは違い、アルシースの操縦服は生地が厚めだ。ノーマルスーツか?
装置類は右腕にあるパネルだけ。宇宙空間に出る用ではないのか? 噴射口もないし。
「これって宇宙空間に出る用ではないよね?」
「宇宙に放り出されたら死ぬだけ。作業はアイシーツが行うことになる」
「機械を直す作業員はいないってこと?」
「いない。アイシーツが行うんでな」
おいおい。それでいいのか? それともアイシーツってのが優秀なの? 整備士の重要性をどこで忘れてきたんだ?
「最低限の機能しかない宇宙服だね」
バトルスーツを要求すればよかった。これではおもしろみもないよ。と、言いつつも着てみた。
「操作法を教えてよ」
「文字が読めるなら腕のパネルで手動操作が出来る。本当は、アルトリューム通信で行うんだけどね」
アルトリューム通信。ジージー側の頭に埋め込まれたチップで機器を操作することだ。そのチップがあるから拒否出来ないのだ。
宇宙服をいろいろ調べ、槌を出して叩いてみると、金属繊維は少ないみたいだ。引っ張ると、ボクの力でも引きちぎれなかった。かなり丈夫っぽいな。
「着るのならこれに着替えろ」
と、全身タイツを渡された。
「多少の水分は吸収してくれて、ラージが浄化してくれるようになっている」
つまり、おしっこくらいなら垂れ流しても問題ナッシング、ってことね。
服を脱いで全身タイツを纏い、宇宙服を着た。うん。着心地は悪くないな。




