第78話 警戒マックス
「……わかった。そちらの要望を飲もう……」
「約束を違えたとき、お互いにとって不幸になることを覚えておいてよ。そちらは孤立無援。現地の協力なしでは生きられないんだからね」
ルービーが約束を守ろうとしても、その上の者が守るとは限らない。自分たちの現状を正確に理解して、よりよい判断をすることだ。
「ああ、孤立無援なのは理解している。無駄な敵対はこちらも望んではいない。約束は守ろう」
「交渉成立。仲良くやろうか」
ナーズの金属骨格を直して解放した。
さすがにいきなり攻撃をして来ることはしない。まあ、ルービーはかなり優秀そうだ。索敵とかやっているなら疑うことも知っているだろう。
なにより、これだけのことをした者を信じるなんて出来るわけがない。警戒マックス。油断も弱みも見せないだろうよ。
でも、それでいい。こちらも警戒マックス。でも、油断も弱みも見せちゃうけどね。相手がしてくれないならこちらがやるしかないじゃない、だ。
「今日は夜も遅いし、明るくなってから話し合うか。あ、友好の印としてシャレインの操縦服をもらえる? ボクは頭を弄ってないからシャレインを手動操作になっちゃうんだよね」
操縦服はサブになるが、ボクにはメインとなるもの。ないとあるとでは大違いなんだよ。
「わかった。用意しよう。ナーズ。あなたをレイの担当にします」
「は、はい。わかりました」
縦社会って大変だよね。まあ、フリーランスも大変だけどさ。
「よろしくね、ナーズ」
「…………」
「ふふ。おもしろいよね。これだけの技術がありながら感情を制御することをしないんだから。それとも制御しすぎて失敗しちゃったかな?」
ルービーを見た。
「ええ。決められたことを決められたとおりにしか出来なくなり、不利に陥ったことがあったわ」
「まあ、感情を制御したら戦争なんて出来なくなるもんね」
戦争なんてしないことに越したことはないが、生存競争を鈍らせたら滅びるだけ。より強い者のエサになるだけだ。弱肉強食、生存競争、適者生存、まったく、生き抜くって大変だよ……。
「本当に別の世界の記憶を持っているのね」
「君たちには非科学的なことでもさらなる超常の存在がこの宇宙にはいるものだよ。ボクたちが1の領域なら君たちは3、かな? 君たちは惑星外知的生命体と接触したことはある? 自分たちより進んでいる者たちとさ」
「……ないわね……」
「ボクは今、それを体験しているよ」
レベル1のボクがレベル3の惑星外知的生命体と接触した。なら、レベル4や5の存在がいないとは言えないだろう、ってことだ。
「確かにこの星は1の領域。でも、レベル3と交渉しているボクがいる。宇宙は広いね、って話さ」




