第77話 アルシース(ステルス船)
「……わ、わかった。交渉しよう……」
「賢い判断でなにより。ただ、素直に信じられないのでそのまま上司に繋いでくれる? 体内に通信装置があることは知っているから。その受信法も知っているんで隠し事は無理。船内放送にして皆にも聞かせて」
受信法は知っていても出来るとは言わない。さすがに心は読めないだろうからね。
「ルービー1。襲撃者が交渉したいそうです。アルシースは破壊されました」
「襲撃して来たのは君ら。ボクは襲撃を受けた側。報告は正確に。そして、ボクはレイ。レイと呼んでくれると嬉しいな。ちなみに君の名前は?」
睨む美少女の胸を鎚でコンコンと叩いた。君、おっぱい大きいねぇ~。
「レイ。わたしは、ルービー。索敵班の班長だ。なにを望むのだ?」
ルービーが名前なんだ。1はなによ?
「まずはそちらの目的を教えてくれない? 予想は出来るけど、あくまでも予想は予想。襲って来た君たちからちゃんと聞かせてもらわないと交渉もなにもないからさ」
おそらくジージーは命令違反として拘束され、ボクのことをしゃべらせられたんだろう。脳を電脳化されていたからね、口を紡ぐなんてことは出来ないだろうよ。
「機密保持のため、あなたを確保しに来た」
「ジージーたちは無事? それ次第で君たちと仲良くすることは出来なくなっちゃうな~。あ、ウソは付かないこと。その時点で君たちは敵だと認定させてもらうから」
「無事だ」
「心身ともに?」
「心身ともに、だ。ジージーと一緒にいた者も害は与えてはいない」
やっぱりロレンソとランジンも捕まっていたか。
「まずはその言葉を信じよう。じゃあ、次は面と向かってお話ししようか。誠意を持ってね」
「了解した。そちらに向かう」
なかなか優秀な人のようだ。信用出来るかは別だけど。
「君、名前は?」
「……ナーズ……」
「そう。ナーズね。君のキャルスを借りるよ」
シックス側と技術は違うが、基本構造はあまり変わらない。所持者以外は使えない構造になっており、解除するには専用の機器が必要となる。
しかし、構造は解析して、解除法を学んだ。
キャルスを分解し、ストッパー的な部品を排除する。意外と単純な機構だよな。威力は高いのに。
「……なんなんだ、お前は……?」
「ただのオタクさ」
キャルスを構え、ニヒルに笑って見せた。
動力機構に見た目、三十歳くらいの女性と、バトルスーツ的なものを纏った者がやって来た。
「ルービーだ」
「レイだよ。皆若いと思ったらルービーさんみたいな年齢の人もいるんだね。機械化しても老化はするんだ。おもしろいね」
生体学はそんなんじゃないのか? まあ、ボクとしてはサイボーグ化のほうがそそるけど。
「ボクの要望はジージーたちの解放。罪を不問としてよ。飲んでくれたら君たちに協力するからさ」
持ち上げているナーズの太股を鎚で叩いて骨格金属を修復させた。あとは自前の治癒力で筋肉は元に戻るだろうよ。
「凄いでしょう。この星にはこんな超常な力があるんだよ」




