第73話 パリオ(AI)
「フフ。見よ、錬金鋼術の真髄を!」
衝撃で歪んだギアを完全修復してやったぜい!
その周辺も微かに傷を負っているので叩いて直し、何度も触って具合を確かめた。プロはこの肌触りでわかるものなんだよ! クク。
「ひとまずお風呂に入るか」
さすがに臭ってきた。気分を一新するためにもお風呂に入るとしよう。
「近くに作っておいて正解だ」
水筒の水を注ぎ、湯船にたっぷり溜めたら熱魔法で鉄板を加熱。二分もしないでいい湯加減となった。
誰が見ているわけでも、自分だけが入るので、体を洗わずそのままザブ~ン。気持ちいい~!
「……ジージー、どうしているかな……?」
元々グランダルクの町で別れる予定だったのだから寂しいもないのだが、長いこと一緒にいたせいで情が湧いてしまった。落ち着くとつい考えてしまうんだよね……。
「仲間と出会えているのならいいんだけどね」
ぐぅ~と腹の虫が鳴いてしまった。
「そういや、まともに食べてなかったわ」
やっぱ、料理をしてくれる人が欲しいよな~。誰か、ここまで来てくんないかな~。
なんて夢を見ながら自分で食事の用意をする。と言っても町で買ったパンに茹でた芋だけなんだけどね。
腹が膨れたら操縦席に座り、動力機関を起動させてみる。
ボタンパチパチ。ギアカクカク、なんてものはなく、予備バッテリーを使って核を再燃させた。
通常は、船の電力を使って起動させるようで、予備バッテリーだとかなり時間がかかりそうだ。
ジージーは、被弾して不時着したわけじゃなく、重力兵器の害でプログラムが狂ったようで、それを再立ち上げしている間に時間が掛かってしまい、ギリギリ不時着となったようだ。
「あ、識別信号を切っておかないと」
届くかどうかわからないが、識別信号を受信されたら面倒だ。シックス側に知られたらより面倒だし。
クゥーンって音がして、動力機関に火が入ったようだ。
「バッテリー、足りるかな?」
かなりの電力が掛かるみたいだし、エンストしたら泣いちゃうよ。
止まらないでとお願いすること三十分。ガコンと船体が揺れて動力機関が動いてくれた。よっしゃー!
コクピット内が光出し、バッテリーが充電されて行った。
「パリオ、損害を教えて」
シャレインの人工知能(AI)に損害状況を教えてもらった。
「外郭損害率三十八パーセント。内部機関損害率二十二パーセントです」
飛ぶには問題はなさそうだ。
「修復箇所を教えて」
直せるところは直しておくとしよう。
「了解」
と、モニターにシャレインの全体図と修復箇所を映し出してもらった。
フム。なるほどなるほど。これなら行けそうだ。




