第71話 帰宅
「レイ、帰るって本当なの?」
夕方にはもう伝わっているウワサの速さよ。怖いわ~。
「うん。また山で金属を集めないとならないからね」
「そんな~。寂しくなるじゃない」
早くシャレインを叩きたい。宇宙の技術を見たくて仕方がないよ。
「手間は掛かるが、お風呂は改造して入れるようにするから許してよ」
変な恨みも買いたくない。ライアスさんから魔石をもらったから湯沸し器を作るとしよう。
「ま、まあ、それなら……」
「たまには町に来なさいよ」
納得はしてくれたようだ。
魔光炉の応用で湯沸し器を作り、お風呂にセットする。
おばちゃんや職人、かしまし娘たちに使い方を教えると、すぐ覚えてくれた。まあ、そう難しくはしてないからね。
憂いをなくしたら山に帰る準備を始めるとする。
ライアスさんからたくさんお金をもらったので、収納の鞄が満杯になるまで買うことが出来るし、収納の箱も作ったので廃材ももらって行けるぜい。
かしまし娘たちも手伝ってくれたので、一日で完了。今生の別れでもないので知り合いには軽く挨拶するだけにし、次の朝には出発することにした。
工房の人たちに見送られ、麓の村へと向かった。
魔物と出くわすこともなく昼前には麓の村に到着。町で買ったものをお裾分けして一泊させてもらった。
ここからは一人なので、夕食をいただいたらすぐに就寝。まともに眠れることはないからだ。
まだ暗いうちに起きて、村長さん家族に見送られて出発。早歩きでずんずん進んだ。
暗くなる前に洞窟までやって来れた。すぐに鉄の棒を熱して魔物避けを設置した。
なるべく動かず、食事もしない。ただ、朝がやって来るのを待ち、陽が昇れば洞窟を出た。
今日中に到着出来るように歩みを止めず、臭いを消すために鉄の棒を熱して地面に刺した。
「なんか急に殺伐として来たな~」
生温い町の生活に慣れすぎて、大自然の中で生きる厳しさを忘れていた。ここでは自分の身は自分で守らないといけないんだよな。
汗をダラダラ流しながらも歩みを緩めることはしない。夕方になって久しぶりの我が家が見えて来た。
誰かに使われた形跡もなく、魔物が徘徊した足跡もない。家に入る前に熱した鉄の棒を地面に刺し、作業場の炉に炭を入れて燃やした。
しばらく物陰に隠れて様子を見る。一時間過ぎてもなにも起こらない。さらに一時間堪え、大丈夫と確認したら家の中に入った。
「ハー、疲れた。一人暮らしは大変だわ~」
それでも町にはない安らぎはある。ベッドに横になり、そのまま眠りについてしまった。ZZZ……。




