第70話 巨石獣のウワサ
うーん。思いの外、欲しい情報はないな~。
さすがにシックスのほうの歴史が入っているとは思わなかったが、マニュアーの基本構造や修理方法、素材なんかの情報はあった。
まあ、そんな情報があったからと言ってゼロからマニュアーを造れるわけでもない。がんばれば皮は造れても動かすエネルギーは造り出せない。電気とガスで動くもののようだ。
「核融合で動いてて欲しかった」
下級兵に渡されるものは安物の兵器。これでジージーたちの兵器と戦えとか哀れすぎるだろう。零戦とF16くらいの差はあるぞ。
「これで生き残ったんだからシックスってエースだったんだろうな~」
そんなエースがこの星の生命体に敗れる。いったい誰がバケモノなのやら……。
「まあ、ジージーんとこよりは理解出来るか」
エネルギーの代用は魔石を使うなら簡単な機動アーマーは造れるかもな。潤滑油とか考えなければ、だけど。
ヘルメットを外し、ボール型の記憶装置を破壊した。証拠隠滅だ。情報を抜かれたと知られたら排除対象に成り兼ねないからな。
粉々にしたら熱魔法で溶かして金属に。廃材として捨ててもらうとしよう。
装甲類もバラバラにして、なんかの足しにしてもらおう。金属としては優秀なんだしさ。
「お嬢」
留守にしていたマリュードさんが帰って来た。お帰り~。
「無事帰って来てなにより。怪我しなかった?」
「ああ。快適な旅でしたが、巨石獣がたくさん出てて迂回する羽目になりましたよ」
たくさん? シックス側の兵士、かなりいる感じ?
「物騒だね~。この町に来ないことを願おう」
ライアスさんなら嬉々として向かって行きそうだけど。
「そうですな。お嬢。師匠からの手紙です」
やっぱり出していたか。ハァーとため息を吐いて、手紙を受け取って丸めて焼却。今さら父親と和解する気もなし。死んだと思え、だ。
「どうせ燃やすだろうから言葉で伝えます。帰って来い、だそうです」
「百年後、生きてたら帰るよ」
死んでいたら諦めてくださいませ。
「ボク、用意が整ったら山に帰るよ。半年くらい閉じ籠るから。用があるならそちらが来てよ」
収納の鞄と収納の箱があれば必要なものは十二分に集められる。半年と言わず一年くらい閉じ籠っちゃおうかな~。
「わかりました。なにを言っても無駄でしょうしね。たまに冒険者を様子見に向かわせます。殺したりしないでくださいよ」
ボクをなんだと思っているんだろう。問答無用で人を攻撃したことないから。
「冒険者によく言い聞かせておいてよ。不幸な事故はゴメンだからさ」
一人暮らししているところに冒険者を送るんだ、悪さをするようなヤツを送るようなことだけは止めてくれよ。
「ええ、気をつけます」
んじゃ、帰る準備をしますかね。




