第68話 生き方
どこから聞き付けて来たのか、針子見習いたちがお風呂に入りに来た。
なんかもう日常にされてるな。湯を沸かす方法を考えないと理不尽な怒りがやって来そうだ。
「レイ。女たちが入ったらおれたちもいいか?」
盾の試しから帰って来たようで、ジスさんとルクスさんが泥だらけだった。なにをどうしたら泥だらけになんのよ?
「了解」
とりあえずボクは一番風呂。針子見習いやライアーズ冒険隊の女性陣を入れたらお湯を抜いて新しい水を溜めた。
「お湯を沸かしたよ。あとは自分たちで調整して。最後だから好きなだけ入ってていいよ。炭火に鉄棒を入れておくからさ」
あとは野郎どもに任せたら食堂に向かい、おばちゃんの料理を美味しくいただいた。
「レイ。今日、部屋に泊めてもらっていいかな? なんかもう動きたくないからさ」
「いいですよ。寝台は一つ空いてますし」
二人で一つのベッドを共有出来るのなら、ですけど。って思っていたらライアさんがボクと寝ることになった。なんでやねん!
と思ったが、細身同士、親近感が湧いたので一緒に眠ることにした。
疲れていたのでベッドに入ったら即お休みなさい。目覚めたら朝になっていた。
……なんか最近、意識を失うように眠ってんな……。
充実していると言えば充実しているんだろうが、若い時間を無駄にしているようにも思える。だからって若い時間をどう過ごしたらいいかわからんけどさ。
この時代、生きることがすべてみたいなところがある。休暇なんて概念も貴族くらいしか持ってないだろう。庶民には一日休みがあるだけで幸運と言っていいだろうよ。
こんなことを考えながらも朝起きたら食事を済ませ、作業服に着替えて工房に立つ。ボクは根っからの職人なんだよね。
「本当に楽しそうだよな」
シックスにもボクが楽しくやっているように見えるようだ。
「まーね。なにかを作るのは楽しいよ。シックスは慣れた? 仲間捜しは諦めたのかい?」
「悩んでいる。合流したところで帰れるとは限らないし、兵器があるとも思えない。おれたちは襲撃する立場だったから艦はかなり離れていた。この星に落ちていることはないだろう……」
宇宙の距離だからな~。地球と木星くらい離れていても不思議じゃないだろうよ。
「まあ、仲間を捜す振りをして冒険者をやっていればいいんじゃない。それなら言い訳も立つでしょうよ」
レーダーも通信機もない。足で捜さなくちゃならないんだからあちらこちら行くしかない。見つけられないならそのまま冒険者として生きたらいいんだよ。
「そう難しく考えない。出会えたらよし。出会えなかったらそれもよし。それでいいんだよ」
そうしてもらったほうがボクたちの安全にも繋がるしね。
「そう、だな。この暮らしも悪くないしな」
前向きでよろしい。せっかく手に入れた新しい生き方。楽しむのもいいじゃないか、だ。




