第67話 一撃必殺
世界の心配はとりあえず横に置き、矢筒から作り出す。
三ヶ所に鏃を固定させる方式にして魔法を籠めるようにする。
この魔法の鏃を使うときはかなり強敵が現れたとき。凶悪な魔物と対峙したときだろう。そんなときの弓士は牽制になるか? そうポンポンと射っても無駄になる。
「一撃必殺と多撃必到、どっちがいい?」
「一撃必殺!」
迷うことなく口にするライアさん。この冒険隊、脳筋の集まりか?
まあ、一撃必殺ならそう難しくしないで済む。火、氷、雷の三つの矢を収納の箱に封印しておけばいい。腰のベルトに付けたらすぐに取り出せるだろうよ。
鏃のチャージも戦闘外に出来る。三種の矢で倒してください、だ。
付与箱を作り、鏃をセットしたらチャージする。これを三つ作ればいい。魔石は五、六個あるんだからな。
一つをチャージするだけなので作るのは簡単。三十分くらいで完成だ。
あ、鏃をセットしなくちゃならないのだから鏃の形も決めないとダメか。一応、形を変えて目で見てわかるようにしておこう。
鏃を作ったら箱にセット出来るように形を整える。三時のおやつ前には完成させて、矢が収まるサイズの収納の箱を作った。
「楽しそうだよね」
一息ついたらライアさんがそんなことを呟いた。
「え? なに? 聞こえてなかった」
ごめんさいね。ボク、集中すると周りの雑音が聞こえなくなりはからさ。
「なにかを作っているとき、レイって笑っているよね」
「そ、そう? 笑ってた? 自分としては真剣にやっているつもりなんだけどな~」
槌の一打は魂の一打。錬金鋼術士の歌。楽器を鳴らしているときに似ているかも。まあ、楽器を鳴らしたことないんだけどね。
「でもまあ、楽しいのは楽しいね。ボクは、物を作るのが好きだからさ」
この時代じゃ女が職人をやるのは好まれない。ボクの場合は有名な家系の出であり、ボクの腕を認めてくれるからこうして出来ているのだ。
「こうして自分の思い描いた物を作る。これほどの幸せはないね」
男に生んで欲しかったって思いは確かにあるが、こうして才能と環境を得られたんだからそれ以上は贅沢ってものだ。打てることを喜びましょう、だ。
「よし。こんなものかな。鏃を外した矢を見せてもらえる? いつも使っているので構わないから」
工房の端に置いていた矢筒から矢を貸してもらい、タップとダイスを作るとする。
タップは鏃の穴を削るためであり、ダイスは木の先を削るためだ。
どちらも実家にいたときに作り出し、そのときいた父親の弟子たちに作り方を教えた。これ、あると便利なんだよね。
「うん。完成」
あとは、ライアさんに使ってもらって、調整するなり作り直すなりだ。ふー。お風呂入ろうっと。




