第66話 鏃
盾の完成具合はジスさんに任せ、食堂に向かってたらふく食べて腹を満たした。
具合を確かめに出たジスさんとルクスさん以外は食堂に集まり、おばちゃんが作った料理を食していた。なんかすっかり食い処みたいになってんな。
「んじゃ、午後もがんばります」
滑車を作るなど簡単なもの。あらよっとな感じで滑車が完成。そこで気づく。これ、最初から作らないとダメなヤツだ。
ライアさんが使っている弓は木製だ。たぶん、一流の職人が作ったもの。これに滑車を付けるなど弓を壊すようなものだ。木を削るとしても職人並みには出来ないだろう。
「どうしたの?」
「根本的に間違っていた。弓は最初から、鉄で作らないとダメだ。弓弦も必要かも」
「弦なら予備があるわよ。てか、弓って鉄で作れるものなの?」
「すべてを鉄にしたら重いからね。基本的なところは木で。鉄は補強と金具だね」
カーボンや化学繊維もない時代。木の代用品は存在しない。弓弦も魔物の毛とかか?
「魔石で軽く出来ない?」
「うーん。今のボクでは無理かな? それなら鏃を作ったほうがいい。鏃に魔法を籠める。火と氷、雷とか作れるね。魔石があるならチャージ、追加を鏃に籠めることが出来るね」
「威力はどんなもの?」
「籠める魔法と魔力次第かな? 鏃を壊さない程度だから猪を殺すくらいかな? 魔法に強く、籠められる魔力のミスリルならグルデュでも倒せるんじゃないかな?」
魔法剣とかはミスリルで作られている。ミスリル製の鏃なら相当量の魔力を籠められるだろうよ。
「それいいね! 弓なんかより鏃のほうがいいわ! どのくらい作れるの?」
「鏃なら半日もあれば二百は余裕。手間が掛かるのは魔法を籠められる箱のほうだね。火、氷、雷の三つなら……まあ、二日くらいは掛かるかな?」
三つは初めてだから見立てが曖昧だ。まあ、二日もあれば完成させれるんじゃないかな?
「弓より断然そっちがいいわ!」
と言うので魔法を籠められる箱──今は矢筒と呼称しておきますか。気に入らなければ使っている人が変えたらいいんだしね。
滑車は鉄屑の山に放り投げ、矢筒を作ることにした。
矢筒と魔石を仮組みし、矢筒のデザインを考える。
「あ、普通の矢も欲しいよね?」
「そうね。高価な鏃ばかり使っていたらお金がいくらあっても足りないしね」
それなら三つの矢は別にしておくほうがいっか。いや、別に収納の鞄に入れておけば済む話か。
「魔石ってまだある?」
「あるわよ」
と、これまた高濃度の魔石をいくつも出してきた。この人ら、いったいどんな冒険してんだろう? てか、この世界、バケモノ多すぎない? 怖いよ!




