第64話 女子会
夜に話を、とか言って、ベッドに倒れたら朝になっていた。
「やっべー。ぐっすり眠ったわ~」
昼過ぎから朝まで眠ちゃったよ。ボク、どんだけ疲れていたんだか。
パンツ一丁で眠ってしまったので、上をつけて新しい作業着に着替えた。
「やっぱ、新しい服はいいね~」
すえた臭いもなく獣臭くもない。鉄の臭いが染み込んだ職人の正装。身が引き締まる思いだ──ってこともない。作業着だしね。
「……レイ、おはよう……」
一緒のベッドで眠っていたジージーが起きた。
ジージーも下着で寝る派なので、なかなか艶かしいこと。男だったら悪戯していることだろうよ。
「おはよう。長いこと留守にしてごめんね。しばらくは町から出ないからたくさん話を聞くからさ」
たぶん、わたしより年上なんだろうが、捨てられた子犬みたいにしゅんとしている。寂しくしてごめんよ。
「今日、仕事はあるの?」
「ないよ。わたしたちも五日くらい町から出てたから」
五日も出てたんだ。長い依頼だったんだな。シックスと出会わなくて本当によかったよ。
「そっか。じゃあ、今日はゆっくりできるね」
本音はマニュアーを叩きたい。叩いて叩いて叩きまくりたい。でも、優先させねばならないことはある。ここは、グッと我慢する時だ。
ロレンソとランジンはまだ眠っているので食堂に向かった。もちろん、ジージーに服を着せてね。
おばちゃんも起きてたが、まだ竃に火を入れたばかりなので、お茶を淹れてジージーの話を聞くとする。
なんでも漆液集めの依頼のようで、森の中で魔物を警戒しながら五日を堪えたらしい。
漆とかあったんだ。知らなかったよ。
大変だった依頼内容を聞いていたらおばちゃんの料理が出来てきて、ガツガツ食いながらジージーの話を聞かせてもらった。
朝食が終わる頃、ロレンソとランジンが起きて来て、四人でおしゃべりとなった。
女として生まれたからと言って、おしゃべりが得意になるってわけでもない。三人のおしゃべりに頷いたり肯定したりするのが精一杯。お昼まで続いて疲労困憊。これなら二十四時間鉄を打つほうが楽である。
なんとか昼食を食べ終わったら解放、ってことにもならず、なぜか針子見習いたちも集まって女子会みたいになってしまった。
職人たちに助けを求めたが、触らぬ神に祟りなしとばかりにそそくさと逃げ出してしまった。
お風呂に入ろうか、って言葉に針子見習いが賛同してくれたお陰で女子会がお風呂会に変わった。
なにが変わったか考える余力はなかったが、若い子たちの肉体は見ているだけで楽しい。ボク、腹筋バキバキだからさ、柔らかそうな体ってよく見えるんだよね。女の子って体でさ。
「楽しそうだね」
「そうだね。賑やかなのは嫌いじゃないし」
ジージーの問いに答えた。女の子が賑かにしているのは嫌いじゃない。一歩引いた立場なら、だけど。




