第63話 帰還
帰る準備に一日掛かり、せっかくなのでシチューを作るとする。
前世のような白いシチューではなく、ワインと豆を発酵したものを混ぜて煮たものだ。
味もデミグラスソース? みたいな味に似ているかな? いや違うか? なんか微妙な味ではあるが、ライアーズ冒険隊の面々は喜んでいる。
「これ、パンを浸すと美味いぞ!」
「パンを土台にしてシチューを掛け、チーズをたっぷり乗せて窯で焼くのもいいかもね」
米もいいかも。ドリア的で。
「よし! 町に帰ったらやってみよう!」
すっかり料理に目覚めたジスさん。冒険者を辞めるとか言わないでね。
たくさん作ったシチューも胃袋オバケと化したライアーズ冒険隊の面々には足りないようで、鍋にこびりついたシチューをパンで掬ってまで食べていた。行儀悪いよ。
強者がいることで、この周辺からは魔物も獣も消えてしまった。
そのお陰で夜はぐっすりだ。でも、久しぶりに柔らかいベッドで眠りたいです。苔の上はト○ロになった気分になるよ。
朝になり、昨日のうちに蒸かした芋で腹を満たしたら町に帰るとする。
「なんだかんだと長居しちゃったね」
「そうだな。デカい仕事をして食材を買わんといかんな」
もう思考がグルメハンターになっている。食うことが一番になってんじゃん。
何事もなく町に到着。シックスはライアーズ冒険隊の仲間として問題なく入町出来た。
「一旦、宿を取るか。レイ。明日工房に行かせてもらうよ」
「あたしとニアはこのまま工房にお邪魔させてもらうね。数日振りに垢を落としたいから」
最初は川で入っていたんだが、料理に集中してしまって入らなくなったんだよね。豚骨の臭いで体臭とか気にならなくなったし。
「それなら収納の鞄を持って行け」
マニュアーが入った収納の鞄を渡してもらい、女性陣は工房へ。男性陣は宿屋に向かった。
久しぶりのマリュード工房。感慨深いものは湧いて来なかったが、鉄の臭いにホッとする。帰って来たって感じるよ。
「レイ!」
工房に入ると、ジージーが駆けて来た。
「ただいま。長いこと留守にして悪かったね。冒険者生活には慣れた?」
「野宿はまだ慣れないけど、そこそこ稼げたよ」
ロレンソとランジンもやって来て再会を喜びあった。
「夜にでも話を聞かせてよ」
まずはお風呂だ。ボクも八日くらいは入ってない。溜まりに溜まった垢を落としたい。さっぱりしたいよ。
すぐに湯船に水を溜めてお湯を沸かした。
「よく洗ってからだよ」
ライアさんとニアレスさんも同じくらい垢が溜まっている。気持ちよく入るためにしっかり洗ってもらうよ。
三人で体を洗い合い、久しぶりの湯へと入った。あー気持ちいい!




