第62話 尊重と尊敬
「そろそろ戻ろうか。依頼も受けんとならんしな」
と、ライアスさんが口にした。
確かに十日もここで豚骨を煮るとか冒険者を忘れている。仕事をしないとなにかあったと思われてしまうよ。
「そうだね。ボクも戻らないと」
ジージーたちのことも気になる。ボクがいなくて上手くやれているだろうか?
「シックスはどうする? 町で準備して仲間たちのところに戻る?」
ジージーと会わせるのは避けるとして、まずは町に行かなければ用意も出来ない。それに、偶然より必然で会わせたほうがいきなり戦ったりしないだろうよ。
「…………」
決められないか。まあ、階級は低そうだし、独自の判断で動くことも出来ないだろうよ。異世界に落ちたらどうしろって命令もなさそうだし。精々、仲間と合流しろ、ぐらいだろうよ。
「それなら、ライアスさんのところで面倒見てくんない? 見習いとしてさ」
ジージーと似たような性能なら役に立つはず。邪魔にはならないはずだ。
「シックス。おれたちら構わないが、どうする?」
まだ迷っているシックスの背中を叩いてやった。
「判断は速やかに。命令がないのなら生き残ることを優先だ」
命令通りなら敵を倒せだろうが、この星では一時中断でお願いしたい。そして、有耶無耶になって欲しい。平和が一番だからだ。
「……わ、わかった。お願いする……」
「頭を下げてお願いします、だよ」
頭を無理矢理下げさせる。
「……お、お願いします……」
「うん。人との関わりは尊重と尊敬だ。よほどのクズでもなければ優しくしてくれるよ」
「アハハ。レイはいい母親になるぞ」
よしてよ。ボクは家庭に入るつもりはないんだからさ。
「そうそう。バラバラにした巨石獣を運びたいんだけど、収納の鞄に余裕ある? ダメなら片足だけでもお願い」
「問題はない。巨大魔物を運ぶときもあるからな」
よっしゃ! これでマニュアーをより解析出来るぜ!
「お礼に皆の武器を強化するよ。ジスさんの盾と弓なら改造出来るからさ」
盾を三割くらい強度を高められ、弓は滑車式に出来る。そのくらいはお礼させて欲しい。
「本当か!?」
「巨石獣の金属を使えば竜の炎くらい防げる盾が作れると思うが、まあ、作るまで一年は掛かるから、魔石を組み込んでしまえば全体を守れる結界にもなるよ」
実家で学んだ。それをジスさんの盾に追加しよう。滑車はそんなに難しくもない。一日で作れるだろうさ。
「頼む! 盾を強化してくれ!」
「ライアスさん、これでいい?」
リーダーの許可をいただかないとな。
「ああ、構わない。レイにはいろいろ助けられているからな。伝手は大切にせんといかん」
ふふ。ちゃんと損得が出来てなによりだ。




