第60話 適正
男女差だろうか? シックスの脳とジージーの脳が違うように感じる。
「食べるのに、こんなに時間が掛かるんだな」
ジージーが思わなかったのに、シックスは料理時間の長さに驚いていた。
「この時代では普通のことさ。誰かが用意してくれるのは町の中だけ。外では自分で用意しなくちゃならない」
ジージーにも教えたようにシックスにも外で食事をする危険性を説いてやった。
「それ故に、お金が必要で、稼ぐ必要がある。まあ、マニュアーの代金として渡したお金なら必要なものは揃えられ、食料も買えるだろう。ただ、常温で保存しなくちゃならない。生物は腐るし、食料だけ持って歩くわけにもいかない。マニュアーだって搭載兵器を無限に積めるわけじゃない。適度な数しか積むことはできない。なくなったからって戻っても来れない。なにを持つかは知恵の絞りどころだ」
肉が焼けるまでに時間が掛かるので、シックスにこの星で生きるための基本情報を教え込んだ。
「レイ。汁が濁ってきたぞ」
料理に興味があるジスさんが声を上げた。
一旦、話を中断して豚骨スープを見る。三時間以上煮込んだからいい味が出来てそうだ。
「出来ることならザルや布で濾したいところだが、灰汁を取って塩で味を整えたら美味しく食べれると思うよ」
洗練された豚骨スープを作るにはまだまだ工程を重ねる必要はあるが、ここの人の舌を満足させるならこれで充分だろうよ。
「この味を知ったらパンや干し肉には戻れんよ」
「町で作って、水筒に入れたら煮るだけで済みますよ。小麦粉団子とかも作っておいて、収納の鞄に入れておけば四日か五日は持つと思うよ」
「なるほど。汁を作っておくか。それはいいな」
「海に行ったら魚で汁を作るのもいいかもね。骨汁だけでは飽きるしさ」
「飽きるか。贅沢なことだ」
まあ、この時代の庶民の食事なんて毎日似たようなものばかり。いいところの商人でも西部劇の食事より貧しいんじゃないかね。よく知らんけど。
肉も焼け、豚骨スープも出来たので食事をすることに。
「これが毎日食えないのが悲しいぜ」
「そうね。町で食べるより美味しいわ」
本当によく食べる人らだ。冒険者の胃はどうなってんだか。
「シックス。食べら……れてるね」
ライアーズ冒険隊の面々に負けないくらいガツガツ食べている。案外、この星で生きるのに適しているのかもな……。
ボクも皆に負けないように食べる。明日はマニュアーのことを教えてもらわないといけないからな。
「明日は猪を三匹は狩ろうぜ」
「賛成だ。たくさん解体して町で調理しようぜ」
グルメハンターになりそうな勢いだな。ボクとしてはありがたいけど。
「それなら風呂も作ろうか。川の横を掘ってよ。麦酒があるなら冷やすからさ」
任せろ! と、強い承諾を得られました。




