第53話 まさか!?
夜は見張りに立つことなく、焚き火の横で眠らせてもらった。
外で眠れるかな? と思ったが、横になって目覚めたら朝になっていた。
……ボク、想像以上に疲れていたか……?
「おはよう。ごめん、一人だけ寝ちゃって」
ジスさんが横にいて、ライアさんが周辺を警戒していた。
「構わないさ。昨日は美味いものを食わせてもらったからな」
「まだ肉があるから朝も作るよ」
水をもらって顔を洗い、焚き火に木をくべた。
洗って干していた肉を木の串に刺し、芋は煮ることにする。昨日、チーズがあると言ってたので。
昨日買った堅パンもスライスして火で炙れるように針金で網を作った。
眠っていた三人も起きてきて体を解し始め、周辺を探りに出て行った。
「まだ時間が掛かるから眠ってたら?」
「いや、下手に眠ると体が鈍る。試し斬りはそんなに時間は掛からんのだろう?」
「そうだね。朝を食べて落ち着いたら、だからね。なにもなければ昼には町に帰れるんじゃない?」
万が一、刃が欠けたとしてもここでは修繕出来ない。本番一発。それで終りだ。
一時間以上掛けて朝食を作り、朝とは思えない食欲を見せるライアーズ冒険隊の皆様方。冒険者の胃は鋼かな?
昨日狩った獲物はほとんどがライアーズ冒険隊の胃に消え、依頼を完了させるより満足そうな顔を見せた。たぶん。
「コーヒー、もっと買っておくんだったな」
え? コーヒー? コーヒーあるの、この世界?!
「コーヒーって、豆を煎って粉にしたヤツのこと?」
「ああ。よく知っているな。南から流れて来たものだ。苦くて飲めたものじゃなかったが、砂糖を入れると飲みやすくなるのさ」
まさか本当にコーヒーがあるとは。ボク以外にも転生者とかいたりするのか?
「どこで手に入れられるの?」
「王都で手に入れられるぞ。ちょっと高いがな」
そうなの? まったく知らなかったよ。もっと王都を見て回ってから旅に出るんだったよ。
「さて。そろそろやろうか。巨石獣の腕を出してよ」
それ以上話していたら王都に旅立ちそうだ。ないものはないのだからきっぱりと諦めるとしよう。
「ライアスさん、大丈夫?」
「もちろんだ」
切り替えの速さも冒険者なんだな。顔付きが変わったよ。
「んじゃ、鞘を背中に装着して」
腰の鞘を外して背中に装着させた。
具合を見せてもらい、移動での歪みがないかを確認。問題はなさそうだ。
「ライアスさん。こういう風に構えて」
横に立って構えを真似てもらった。
「チャージの言葉で剣に魔力が宿る」
「チャージ!」
「柄から魔力が魔剣に纏って行くのがわかるでしょう。チャージ、魔力を纏うまで約十数えるくらい掛かる。その十数える時間は仲間たちが稼いで」
一撃必殺には時間が掛かるのだ。
「魔力が凝縮しているのがわかる」
「溜まったと感じたら抜刀で鞘が展開される。そのまま巨石獣の腕に斬り掛かって」
刃が抜けるように鞘の三分の二が左右に分離し、石突き折り畳まれるようにギミックしました。
「抜刀!」
魔力が溜まったことを感じて叫び、その場から消えた──ら、なんか風圧で吹き飛ばされてしまった。え?




