第52話 用意いいな!
肉祭りだ~! ってくらい獣を狩って来たお二人さん。
血抜きはまだしてないようなので、血が固まる前に抜いてしまう。
「慣れてるね」
ボクの捌きにライアさんが感心している。
「山の中で暮らしていたんで慣れたものですよ。水もたくさんあるしね」
解体とかは川で血を流したりするんだが、ボクは熱魔法があるので氷を創り出すことも出来る。
ライアーズ冒険隊持参の盥に水と氷を入れて肉を洗った。
洗った肉を水切りし、焚き火でちょっとだけ燻した。
「料理も得意なんだ」
「得意ってわけじゃないが、手間隙掛けられるなら美味しいものは作るようにはしているよ」
鉄を打ち始めると時間を忘れてしまう。なので、料理はお座なりになることのほうが多くなるのだ。
水分がなくなり燻されたのなら塩と胡椒を擦り付けて、炭火でじっくり焼くとする。
「鉄鍋とかあったりする? 芋とかもあると尚よし、だね」
「あるぞ」
あるんかい。用意いいな、この冒険隊は。
鉄鍋を出してもらい、獣の骨、芋、山菜、水、塩を入れて両手を当てて熱した。
あまり強いと鍋を溶かしてしまうので加減しながら調整する。
十分くらい熱して中を確認する。
「うん。まあまあかな」
悪くはないってだけで美味しそうな匂いかと言われたら困る、ってくらいなものだ。
枝で芋を刺すと、まだちょっと固い。もうちょい煮るか。
「いい匂いだ」
「これ、サルファの町で食ったものと似てるな」
「他でも骨煮はあるんだね。香味野菜とかあると臭みをもっと取れるんだけどね。ここではこれが精一杯かな」
スプーンで灰汁を取り除き、塩で味を調整する。タマネキとか欲しかったな。
「ここに小麦粉を溶いて丸めたものを入れると腹持ちがよくなるよ」
「小麦粉ならあるぞ」
と、ルクスさんが革袋に入った小麦粉を出した。
「非常食として持っておいた」
「ルクスは食いしん坊だからな」
アハハと仲間たちが笑った。ジスさんのほうが食いしん坊体型なのにな。
「それで何度も助かってんだろう」
「興味があるなら教えるよ」
「頼む」
食いしん坊なだけにやる気はあるようで、いい感じの団子を作った。
鍋に放り込んで一煮立ち。肉もいい感じに焼けてきたので夕食にする。
「美味い! 塩と胡椒だけなのに最高だ!」
ボクとしては血抜きが甘かったかな? って思ったが、若い肉体は肉を求めている。そんなもの構わぬと肉にかぶり付いた。
「骨煮汁もいい! 野営で一番の食事だぜ!」
これはもっと骨を洗うんだった。雑味と生臭さがあるよ。塩と胡椒、もうちょい振っておくか。
ボクには不満でもライアーズ冒険隊には満足のようで、周りに注意しないでバクバク食べているよ。普段、碌なもの食ってないんだな~。




