第51話 鉄粉
野営地に戻り、夕食の準備をする。
「いつも野営のときってなに食べてんの?」
「パンと干し肉よ」
「ライアーズ冒険隊でもそんなんなんだ」
なんか夢も希望もないな。もっといいものを食べていると思ったよ。
「どこの冒険隊も同じよ。匂いを立たせると魔物が寄って来るからね」
「それなら魔物が嫌がる臭いを立たせるよ。ちょっといいのを食べようよ」
これだけの冒険者がいるならデカい魔物が来ても大丈夫っしょ。ボクは肉が食べたいのです!
鉄棒を出して熱したら地面に刺して回った。
「なにをしているんだ?」
「魔物は鉄が焼ける臭いを嫌うんだよ。ボクはこれで一人旅をしてきた」
まあ、岩陰や木のうろに隠れはしたけどね。
「そんな技があったんだな」
「絶対ではないから油断しないでね。大きい鉄棒ならもうちょっと効果はあるんだけどさ」
ボクの持っていた収納の鞄では十本が精々だった。早く大容量の収納の鞄を手に入れないとな。
「ニア。出来るか?」
「うーん。レイ、もう一回やって見せて」
投げナイフを渡された。柄、燃えちゃうよ。
「遠慮はいらないわ」
って言うので投げナイフを熱した。
「鉄を溶かしたりもしてたり、レイの魔力、結構凄いわね。魔導師級はあるんじゃない?」
「どうだろうね? 魔導師と会ったことないからわかんないよ」
追い出されるときに親父と同等かちょい上くらいだとは感じたけど。
「ニア、どうだ?」
「溶かすまでは無理だけど、熱くすることは出来ると思う」
ニアレスさんが集中すると、投げナイフが赤くなった。
「熱っ!」
慌てて投げナイフの在り方を思い出したようだ。
「そりゃ、手にも魔力を纏わせないとダメだよ。やるなら地面に刺してから熱しないと。それか鉄粉を撒いて火を着けるかだね」
ポケットに入り込んだ鉄粉を集め、空中に撒いて火の玉をぶつけた。
「これでも多少なりとも効果があるよ。ただ、鉄粉は燃えやすいから注意だけどね」
「錬金鋼術士ってこんなに凄かったのね」
「ああ。魔導師並みに頭いいじゃねーか」
「お前さん、本当に見た目どおりの年齢か?」
「ピチピチの十七歳だよ」
肉体は、だけど。中身は内緒♥️
「これならいい匂いを立たせても魔物は寄って来ないと思うから暖かいのを食べようよ。誰か肉を狩って来てよ。塩と胡椒ならあるからさ」
塩と胡椒は旅の必需品。なくなる前に補充するのが当たり前だ。
「それならあたしが狩って来るよ」
「それならおれも行って来るか。魔物が寄って来ないのならがっつり食いたいしな」
いや、絶対じゃないんだからほどほどにしてよ。
ボクの言ったことなど忘れたかのようゆライアさんとルクスさんが飛び出して行ってしまった……。




