第48話 黒姫
いい体を見れて元気百倍。若さって最高だ。
気分も一新されて集中力も百倍。一気に作り出した。
「魔石の定着も申し分なし。流れもよし。あ、魔石の位置、もう少し上のほうがよかったか?」
性能は完璧と思いつつもデザイン面でやや不満が残る。デザインも勉強しないとダメだな~。
即席の台座に置いて自慢の作品を眺めた。
いい仕事はした。デザイン面に不満は残るものの満足出来る一品と言っていいだろう。いつかこれ以上のものを打ってみたいものだ。
確か工房にワインがあったことを思い出し、台座の前に置いた。お神酒みたいなものだ。
「出来たようだな」
職人たちが入って来る前にライアーズ冒険隊がやって来た。
「早いね」
「待ち切れなくてな。これが鞘か?」
「うん。名は黒姫。ライアスさんの新たな相棒だよ」
「名前を付けたのか」
「名を付けるだけの一品であり、黒竜の魂が宿るからね。名前を付けてやらないと失礼だ」
新たな命を創り出したのだ、名無しなんて可哀想でしょうよ。
「まずは誕生を祝おうか」
カップを持って来て、ライアーズ冒険隊の面々に渡して注いで回った。
「ライアスさんが音頭を取って」
「音頭って、黒姫誕生を祝して、とかでいいのか?」
「構わないよ。持ち手のライアスさんが祝ってくれたらね」
誰よりもライアスさんが祝さねばならない。命を預け合う相棒となるんだからな。
「わかった。黒姫誕生を祝して! 乾杯!」
カップをぶつけ合って黒姫誕生を皆で祝した。
一気にワインを飲み干し、台座に少しだけ垂らした。お前も飲んでくれ。
「よし。まずは腰に付けてみて」
「背中じゃないのか?」
「必殺技なんてもんは普段から使わないだろう。強敵が現れたとき、必殺の一撃が必要なときに背中に装着するのさ」
台座から剣を取り、腰に付けた。
金属鎧を纏うので、金属製の金具を使っているから隠密とか丸無視だ。ガシャガシャと歩くだけでうるさい。
「抜いてみて」
ライアスさんが持つ魔剣は所謂ロングソード。刃は八十センチくらいある。垂らす形にしているので抜くことに支障はない。簡単に抜いた。
居合いとかする剣でもなし。そんな技もなし。なにはともあれ剣を抜く。それがファンタジーな世界のの流儀だ。
「素人質問でなんだけどさ。鎧って必要なの? 動き、悪くならない? ライアスさんなら機動性を優先させたほうがいいんじゃないの? そっちのおにいさんが盾を持て敵の目を引き付ければライアスさんは自由に動けるんじゃない?」
タンクって言ったっけ? 敵の攻撃を引き受けて、アタッカーが攻撃する、とかじゃないの?




