第44話 打ち直し
「ごめんなさいね。ライアスったら加減を知らないの」
攻撃系魔法使いか回復系魔法使いかわからないが、この冒険隊の要っぽい女性が謝ってきた。
「加減を知っているから黒竜の魔石を渡したんだ。大丈夫だっただろう」
そりゃ大丈夫だったけど! 一言言えってんだよ! 凶悪な魔石は魔力を吸ってしまうんだからよ!
「まったく。伝説の鍛冶師じゃないんだから勘弁してよ。野良の錬金鋼術士には黒竜の魔石なんて滅多に、どころか一生縁のないものなんだからさ」
それがこうして出会っちゃったけど……。
「それでもどうにか出来るんだろう?」
「まあ、魔石を弄るわけじゃないからね。そうでないのならなんとか出来るさ」
鉄板を出して、箱を作ってそこに魔石を閉じ込めた。封印しないと魔力を吸われちゃうよ。
「そんで、どうする? 魔剣の打ち直しに五日。鞘に一日。調整に三日、って言ったところかな。満足出来ないならまた何日か必要になるね。待てないってんなら王都に行くことを勧めるよ」
「打ち直して、新しい鞘を作ってくれ」
一瞬の迷いもなしかい。判断が早いな。さすがはS級な冒険者だ。
「了解。バイマさん。工房の一ヶ所を借りるね」
「ああ、好きに使ってくれ。ライアーズ冒険隊が利用してくれたなら箔が付くしな」
「ありがとう。んじゃ、さっそく始めるよ」
工房の槌も借りてまずは魔剣を解析する。実家の魔剣みたく折れないからな。
まずは小さい槌で撫でるように打つ。少しずつ移動させながら音の反響を聞いていった。
そのまま徹夜してしまったが、魔剣は解析出来たし、歪みも見つけられた。やはり宇宙産なだけはあったわけだ。
まずは歪みの補正だ。槌を代えて歪みを正すために熱を加えながら何千回何万回と打つ。
なんか誰かに声を掛けられて振り向いたらマリュードさんやライアーズ冒険隊の面々がいた。
「お嬢。集中しすぎだ。二日寝てないぞ」
え? もう二日も過ぎてたの? た、確かに言われてみれば眠いし、魔力が減っているわ。
「少し休むよ」
工房の端に向かい、横になったら眠りに付いてしまった。
起きたらなぜかベッドの上にいた。なんで?
「あ、起きた」
ぼんやりしていたらジージーたちがいた。あ、お帰り。
「どのくらい眠ってた?」
「半日は目覚めなかったわよ」
半日か。かなり眠ってしまったな。もうちょっと早く目覚めれると思ったんだけどな~。魔光炉に集中してたのが悪かったかな?
「食べるものあったらもらえる? 今なら石でも食えそうだよ」
魔力が空に近い。しっかり食わないと死んでしまうわ、ボク。
「起きたら食べれるようにって女将さんが用意しててくれたから持って来るよ」
ロレンソが部屋を出て行き、たくさんの料理を運んで来てくれた。いただきまぁ~す!




