第43話 どこぞの主人公だよ!
「うむ」
そう頷くと、風が起こり、次の瞬間には試し鎧が切断されていた。ふぁわ?
「……まったく見えなかった……」
動いたとことも斬ったところまったく見えなかった。これがS級な冒険者かよ! 人の出せる動きじゃないよ! そりゃロボットの腕も斬れるわけだよ!
「まあまあだな」
そりゃあんな動きをされたらどんな剣もまあまあになるわ。魔剣じゃなければ耐えられないのも理解出来るわ。てか、こんなに強いと敵っているものなの……?
「それ以上の剣を手に入れようとするなら王都に帰ることだね」
王都にあるかどうかも知らないけどさ。
「どうする? 巨石獣も見失っちゃったし」
仲間の一人、弓を担いだ女性がライアスさんに尋ねた。この人もこの人で強そうだ。その弓、魔弓じゃね?
「ちなみに打ち直すとしたら何日くらいかかるんだ?」
「刃こぼれもそんなんじゃないし、五日くらいかな? 鞘はわからないよ。専門外なんでね」
やってやれないこともないが、少なくともさらに五日は掛かると思う。
「いや、金属製の鞘なら一日も掛かんないかな? 魔石があるなら強度上昇の魔法を付けてあげれるよ。その剣も強度強化の魔法が籠められたものだからね」
永遠に効果があるものではないが、剣自体が永遠なものではない。日々のメンテナンスは必要だ。強度強化魔法もそのときに掛け直しているのだ。
「どのくらいの強度になるんだ?」
「魔石次第だけど、弱いならそれなりに。強いなら一撃必殺、な感じには出来るよ。リオルームくらいの魔石なら巨石獣相手でも歯こぼれはさせないね」
ライアスさんの腕なら、って条件はあるけど。
「この魔石ならどうだ?」
収納の鞄から真っ黒の魔石を取り出した。なんじゃこりゃ?
サイズはゴルフボールくらいだが、秘めた魔力はリオルームの比ではない。いや、比べるのもおこがましいものだ。
「なにこれ? 尋常じゃない魔力を感じるんだけど! 素手で触っちゃダメなものだよね!」
慌てて金床に置いた。
ボクの魔力でもヤベーものだ。並みの相手なら魔力に焼かれているところだよ!
「黒竜の魔石だ」
「はぁ? こ、黒竜!? あんなものまで倒してたの?! 国を一つ滅ぼしたってヤツじゃん!!」
あんたら勇者か! ロ○の子孫か? どこぞの主人公だよ!
「……とんでもない連中なのは見てわかったけど、想像以上だよ……」
ボクはどんな物語に関わってんだよ? なんか怖くなってきたわ!
「それを触れるのだから君も只者でないな」
「只者だったらどうするつもりだったんだよ! 下手したら手を失ってたよ!」
「そうでないとわかったから渡した」
ヤベー! こいつヤベーよ! 確信犯だよ! S級な冒険者になると頭のネジが緩むのかよ! サイコパスがっ!




