第42話 マニュアー(人型兵器)
「てか、なにを斬ろうとしたの? バルカリア金属なら鉄でも斬れる強度があるでしょうに」
タングステン並みの強度はあるものだ。それで歯こぼれとか異常でしょう。この世界にとんでもないものいるな!
「巨石獣だ」
巨石獣? あ、ゴーレムのことか!
「そんなものが近くにいるの!? 巨石獣って、城塞を落とすときに使われる魔法兵器じゃない!」
ボクも知識としてしか知らないものだ。なぜそんなものがこの周辺にいるんだ?
「それが全身金属で、おれの一撃では腕を斬るだけで精一杯だった」
全身金属のゴーレム? そんなの……いるな。宇宙からやって来たヤツらの中に……。
「その腕はどうしたの?」
「それなら回収した」
S級な冒険隊だけはある。普通に収納の鞄を持っているよ。しかもかなり高価で大容量の鞄を……。
出された腕は左腕。肘辺りを斬ったようだ。
槌でカンカンと打ってみると、これまで聞いたことがない音と感触だった。
「よくこんなものを斬れたね。ほぼ力任せの斬り口だよ」
たまにいるバケモノだわ、ライアスさんは。操っていた者も驚いただろうよ。宇宙で使うような兵器を斬る原住民がいるんだからさ。
「刃がこぼれはしたがな」
「いや、普通は折れているから。どんな腕してんのさ? 巨石獣もびっくりだろうよ」
「それで剣とか造れるか?」
「無理だね。これ、合金だから。分離させるだけで数年は掛かるよ。それなら魔剣を手に入れたほうが早いね」
「売れるか?」
「王都にいる変人錬金鋼術士なら、可能性はあるかも。真っ当な錬金鋼術士は絶対に買わないね。解析だけでも何十日って掛かるだろうからさ。仮に解析が出来たからって剣に適しているかもわからない。そんなものにお金は出さないし、逆にお金を取られるかもね。こんな大きさの金属なんて」
錬金鋼術士は魔力を通さない金属を嫌う。これは、一切通さない。さすが宇宙産だよ。
「どうするかはライアスさんが決めたらいいけど、ボクは変人錬金鋼術士。剣の打ち直し代で引き取るよ」
これは、ジージーたちの敵の兵器だろう。興味はあるが、腕だけではな~ってものだ。どんな金属かくらいしかわからんだろうよ。
「お嬢。親方の剣だ」
「ありがとう。ライアスさん。これがマリュードさんの剣だよ。代剣としてはかなり優秀だよ」
「試し斬り出来るか?」
「ちょっと待って。廃材の中から適当なものを探すからさ」
マリュードさんの剣なら鉄をも斬れる。木では物足りないものだ。
廃材の中から鍋と錆びた剣を打ち直して簡単な鎧を作った。並み以上の強度にはなったはずだ。
「さあ、どうぞ」




