第39話 魔光炉
夜中まで打ちに打って魔光炉を完成させた。フー。
「こんなにがんばったの、魔剣を折った以来だよ」
あのときは魔剣のことが知りたくて夢中で叩いていたものだ。まあ、勢い余って折っちゃったけど!
さすがに限界なのでお風呂……今日もかい!
「頼むよ」
「お願いします!」
なんて女の子たちに言われたら断れない。水汲みはお願いしてお湯を沸かすのを受け持った。魔力量がある体に生んでくれた両親に感謝です。
ヘロヘロになりながらも一緒に入ることは逃さない。昨日と同じく見習いの子に背中や髪を洗ってもらえた。
ジージーたちは帰って来ないので、ベッドを一人占め。あ、夕食を食べれなかった──と気付いたときは夢の中。空腹で早く起きてしまった。
奥さんが作り置きしてくれたのか、食堂に鍋が置いてあり、お肉たっぷりのシチューが入っていた。
温めてからいただき、お腹一杯になったらまた眠くなってきた。皆が起きて来た物音で目覚め、奥さんが作ってくれた朝食をいただいた。
「うん! 魔力全快!」
「若いって羨ましいよ」
まったくだ。よく食べてよく眠れば全回復するんだからな。若さに万歳!
腹が落ち着いたら職人たちに魔光炉をお披露目する。まあ、昨日のうちに完成しているので見てはいるんだけどね。
「魔光炉の使い方はわかる?」
「この上に物を置いて叩くといいんだろう?」
それだと五十点。
「基本はそう。魔光炉には専用の槌が必要になるんだよ。この槌が物に魔法をかけるんだ」
ボクが使い、収納の水筒に掛けられた魔法を解析、記録させて、魔光炉にある魔力を使って付着させる、って感じかな。
ボクは自らの魔力を使うので魔光炉は必要ない。まあ、あれば楽になるって感じ。魔力を持たない者でも使えるのが魔光炉のよいところだ。魔石が切れたら使えないがな。
「水筒を魔光炉に置いて叩いてみて。魔法が付着したら音が変わるから」
鍛冶士なら音でわかるもの。聞き分けられないようでは失格である。
錬金術も学んだ職人にやってもらい、水筒を叩いてもらった。
「ここか!」
音が変わったことに気が付き、打つのを止めた。
「桶の水を入れてみようか」
皆で井戸に向かい、桶一杯の水を汲んで水筒を入れた。
ポコポコと中の空気が抜ける音が響き、口のところまでの水がなくなった。
もう一回水を汲んで水筒を入れる。それをさらに三回繰り返して水を吸わなくなった。
桶一杯が二リットルだとして五回で一杯になったから十リットルは入ったってことだ。
五百ミリリットルも入らない水筒に十リットルも入った。ざっと二十倍は拡張されたってことだ。一回の冒険なら十二分に足りる量だろうよ。
「よし。マリュード工房の新しい製品だ」
銀貨十枚。いや、金貨一枚でも売れるはずだ。この魔石で何個作れるかはわからんけど。




