第37話 お風呂は皆で
ジージーとロレンソの模擬戦が始まった。
ボクも見学したいところだが、今日も仕事がある。ランジンに声を掛けて仕事に出掛けた。
少し遅れてしまったのか、おねーさん方が集まっていた。
「来ないかと思ったよ」
「すみません。一仕事済ませて来たもので。ちゃっちゃとやっちゃいますね」
だからと言って雑な仕事は致しません。渾身を籠めてやらせていただきまっせ。
なんか時間が過ぎるにつれて人が増えている。ほんと、誰か鋳掛屋やれよ。
休む暇なく包丁を研いだり鍋を叩いたりと、もう一日が終わろうとしていたよ。
それでも来てくれたお客さんは捌けた。売上も銅貨……何枚だ? ありすぎて数えるのも面倒だ。両替屋に行って銀貨にしてもらおう。
工房に帰ると、三人は部屋でチェスをやっていた。
ボクと同じく転生者がいたようで、チェスは数百年前からあったりする。
その割りに文化レベルは高くはない。チェスを広めるよりお風呂やトイレの技術を向上させて欲しかったよ。実家や工房のトイレを綺麗にしなかったらボクは異世界ファンタジーに挫折してただろうよ。
「ゆっくり休めた?」
「まーね。午前中はジージーと模擬戦してたけど」
ロレンソは脳筋っぽいから大変だっただろうよ。ジージー、お疲れ様。
チェスをするジージーの肩をポンポンと叩いて労った。
「お風呂、沸かすね」
沸かしに向かったら、針工房のおばさんと針子が来ていた。いらっしゃい。
「下着出来たよ」
「おー。相変わらず仕事が早いね。ありがとう」
「構わないよ。下着のお陰で稼がせてもらっているからね。もう一つ工房を建てようかって話が出ているくらいさ」
下着で工房とか建てられんだ。凄いな。どんだけ売れてんのよ?
「風呂かい?」
「うん。皆で入ろうかと思ってさ。おばさんたちも入るかい? 順番になるけど」
「いいのかい? 頼むよ。風呂はあんたがいないと大変だからね」
「どうぞどうぞ」
ボクは全然構いませんよ。
お風呂を沸かしたら三人に入ってもらい、ボクはランジンが持つ水筒を叩いて解析する。
百回くらい打つと水筒に掛けられた魔法がわかったきた。さらに百回打って完全に理解。廃材の中から手頃な鍋を探し出して打つ。打って打って打ち捲った。
「よし、完成!」
井戸に向かい、桶を外して鍋を括り付けて井戸に放り込んだ。
口がそれほど大きくはないが、五分も沈めていたら満杯にはなるはずだ。
収納魔法なので重さは鍋の重さだけ。感じでは十倍にはなっているはず。
二リットルは入るとして、十倍なら二十リットルにはなっているはず。湯船を満たす量ではなくとも水汲みは十倍楽になったはずだ。たぶん。
完成する頃には三人は上がっており、お湯は三割くらいなくなっていた。
鍋に入れた水を注ぐと、一割ちょっと回復した。さらに倍にしないと湯船を満たすのは大変そうだな。
「おばさん。四人ずつね。って、全員かい!」
住み込みの三人だけではなく、通いの子までいるじゃないか! 水汲み、まったく楽にならないよ!
「よろしく頼むよ」
「ハァー。いいよ。さっぱりしていきな」
まあ、若い子が綺麗になるのはいいこと。ホカホカになった女の子はいいものだ。
最後、十二、三くらいの見習いと一緒に入り、頭や背中を洗ってもらえた。極楽極楽。また皆と入るとしようかね。フフ。




