第36話 バールのようなもの
お風呂から上がったら食堂でたらふく食べさせてもらい、さっさと眠ることにした。
「ジージー、上手くやれた?」
借りてきた猫状態でいたジージーにベッドの中でこそっと尋ねた。あ、一緒のベッドで寝ております。サイボーグ化してても女の子の匂いがするから不思議よね。クンクン。
「うん、まあ」
「まったく、人見知りなんだから。大丈夫。あの二人なら」
こちらを向けて抱き締めてあげた。兵士でも寂しいものは寂しいもの。よしよししてあげた。おっぱい吸う? なんも出ないけど。
人見知りで甘えん坊なのか、ジージーもボクを抱き締めきた。やだ、きゅんじゃない♥️
安心したのかそのまま眠りについてしまい、ボクも連れて眠りについてしまった。
快適な朝を迎え、三人が出掛ける前にロレンソの剣を打ってあげる。
「刃もこぼれてるね。どんだけ強く打ったんだか」
「……すんません……」
「ロレンソはもしかすと、槍か棍のほうがいいのかもね。ジージーより先に動いたのなら瞬発力が高いってことだからさ」
ボクは相手の技量とかわからないが、金属から持ち手の癖なんかはなんとなくわかったりする。
「この刃こぼれなら打撃系がいいと思うな」
「そ、そうなの!?」
「まあ、あくまでもボクの見立てさ。どうするかはロレンソが決めな」
向き不向きや好き嫌いがある。ボクが強制することじゃない。どうするかは自分で決めろ、だ。
「ラン、どうしよう?」
「なら、使ってみればいいじゃない。棍なんてその辺に落ちている木を削れば簡単に作れるものなんだから」
ランジンはリアリストだな~。まあ、だからいいコンビだったんだろうよ。
「それならそこにある鉄の棒を持っていきなよ。ロレンソなら使えると思うよ」
ボクが打ったバールのようなものだ。
ここではあまりバールのようなものが普及されていないので、工房の端に立て掛けたままになっていたのだ。
「重っ! でも、威力高そうだ!」
「それなら岩を叩いてもビクともしないよ。尖っているほうは猪の頭でも貫く。使いこなせたら魔剣なんかより有用さ」
重いってのが欠点なだけで、魔剣の強度にも負けてない。セツコ、それもうバールやない! って突っ込みはご勘弁してください。
「ジージー。相手してあげなよ。黒鉄の剣なら受け止められるからさ」
強度だけなら黒鉄の剣のほうが上だ。並みの魔剣でも張り合える。ボク渾身(趣味全開)の一本だ。
「ジージー。お願いしていい?」
「え、あ、うん。いいわよ」
そうやってコミュニケーションを取りなさいな。




