第35話 国家公認証
「あ、無事帰って来たね」
ちょうど三人と工房の前で再会した。
多少、汚れてはいるが、怪我は見て取れない。ピンチにはならなかったようだ。
「すぐお風呂を沸かすよ」
ボクもお風呂に入りたい。鉄粉まみれだからな。
すぐに用意してまた四人で入る。あー気持ちいい。仕事終わりは風呂でシメる。これぞ職人だ。いや、ボクだけのことだけど。
「なんの依頼を受けたの?」
「ホコロの採取よ。今が時期だから」
ホコロ? あ、茸か。もうそんな時期なんだね~。季節が巡るのは早いものだ。十七歳がいうセリフじゃないが。
「あーあれ美味しいよね。七輪で焼いてちょっと塩を掛ける。冷やした米酒によく合うんだよね~」
「なんかおっさんみたいなこと言うよね」
おっと。食欲に負けて前世が出てしまった。いかんいかん。
「アハハ。職人の中で育つと男っぽくなるんだよ」
「まあ確かに、なんか男っぽいところあるよね」
「それで婚約とか破棄されちゃったこともあったよ。アハハ」
いいところに生まれると許嫁とかいたりするものなんだな。びっくりしたもんだよ。
「許嫁? レイって本当にいいところのお嬢さんなの?」
「貴族ではないけど、まあ、いい家だったね。国家公認の錬金鋼術士の家だったからさ」
詳しくは知らない。興味もなかったし。
「国家公認って凄いじゃない! 下手な貴族より地位は高いわよ」
「凄いのは父親。ボクが凄いわけじゃない。国家公認証もいただいてないしね」
もらえるだけの実力はあると言われたことはあるが、公務員とか無理。ボクは自由に仕事をしたい主義なんだよ。
「ボクは、旦那を支える慎ましやかな奥さんとか無理。自由気儘に槌を振るっているほうが好き。楽しいしね」
前世から物を作るのは好きな性格だった。それが転生したら錬金鋼術とか夢の魔法が使えた。もう自由に生きるしかないじゃない。いや、自由に生きるべきっしょ!
「まあ、わからないではないかな。アタシも剣を振るっているほうが楽しいしね」
ロレンソもボクと同じタイプ。よくわかるよ。
「お風呂から上がったら剣を手入れしてあげるよ。なんか斬ったでしょ?」
「わかるのか?」
「金属音から歪みがあるのがわかったからね。かなり硬いものを斬ったんじゃない?」
なにを斬ったらあんなに歪むのよ?
「アハハ。岩をちょっと……」
岩? 岩をなんで斬るの?
「早とちりよ。草むらが揺れたからって全力で振り下ろしたの。バカなんだから」
「ナハハ。すんません」
フフ。まさに幼馴染みって関係性だ。羨ましいよ。




