第33話 お仕事
「いってらっしゃい」
次の日、冒険に出掛ける三人を見送った。
昨日はよく食べよく眠ったようだから活力に満ちていた。ジージーは不安そうにしてたけど。
「さて。ボクも仕事をがんばりますか」
まずは初心に返って工房の掃除をする。
マリュード工房には親方であるマリュードさんが立ち、その下に弟子でもあるバングさんとアルダさんがツートップが立つ。
バングさんは、錬金鋼術士して。アルダさんは、鍛冶士として、マリュード工房は二つの部門を運営している。
基本、どちらも出来るのが錬金鋼術士だが、やはり向き不向きはあるもの。二つに分かれてしまったそうだ。
バングさんとアルダさんの下にも弟子はいる。住み込みや通いで十三人。大工房と言っていいでしょうね。
工房もちょっとした体育館くらいはあり、作業場が八つもある。さすがに手狭になったようで、壁の外に鍛造所を造っているとか。次の代になったら壁の外に工房を移すかもしんないな。
リヤカーを一台借りて、道具を積み込む。まずは防具屋の仕事を片付けるとする。
防具屋の簡易作業場ではちょっと不便だが、これはボクが個人的に受けた仕事。マリュード工房では他の職人の目がある。我慢してがんばるとしよう。
「おはようございまーす。今日からしばらく通わせてもらいます」
防具屋も店主一人で営んでいるわけではなく、店を見る人、修繕する人、お金を管理する人と、五人くらいでやっていた。
修繕とかを担当するのは店主の父親。おじいちゃんだ。孫もその手伝いをしている。これがくらいって言っている理由ね。数に入れていいのかわからない存在だ。
「グランジック家のお嬢さんがこんなところに来るとはな」
「うちには優秀な弟がいますからね。どこかに嫁ぐしか出来ない女は必要ないんですよ。金勘定も苦手ですし」
一子相伝、ってわけじゃないが、技術を伝授するなら男のほうに、って思うのはこの時代なら仕方がないことだ。ボクも家を継ぐとか面倒だし。
「これだけの腕があるのに惜しいのぉう」
修繕、改修した丸盾を見てもったいないと呟くおじいちゃん。
「これくらいの腕ならマリュード工房でも出来ますよ」
まあ、いい値段は取られるだろうがな。
丸盾の修繕、改修はそこまで手間ではないので午前中で終わらせた。
「昼はうちで食べるといい」
工房に帰ろうとしたらおじいちゃんに誘われ、防具屋の人たちとありがたくいただきました。誰かの手料理、美味しいです。
午後は防具の金具や部分鎧、籠手なんかを修繕。なんか一日ですべてを終わらせてしまった。
「報酬の収納の鞄だ」
「いいんですか? まだ収納の鞄分の仕事はしてないのに」
「次に回させてくれ。息子の分まで奪われたら技術が身に付かんからな」
ってことで収納の鞄をゲット。明日から工房の作業場を借りるとしましょうかね。




