第31話 聞かないのが礼儀
「え? レイ、来ないの?」
冒険者組合で依頼を受けた三人。がんばって~と応援したら絶望の顔を見せるジージー。
「いやボク、戦闘力ないし」
錬金鋼術士に期待しないで欲しい。金属を打ってナンボの職業ですから。
「仲間を探すんでしょう。がんばりなさい。それに、ボクがいたら魔物は寄って来ないよ」
「前は寄って来たじゃない」
「リオルームは一流の冒険者でも狩るのは大変なバケモノ。あのくらいになると火も鉄も恐れないものさ」
あんなところで遭遇するのが想定外。ボク一人だったら殺されていただろうよ。
「リオルームと戦ったの!?」
「なんで生きているのよ?!」
これが普通の反応だ。いや、ボクだけだったら死んでたね。アハハ。
「それだけジージーが強いってことさ。ただ、ちょっと世間知らずなところがあるから許してやってよ」
「え? 貴族ってこと?」
「貴族ではないよ。ちょっと特殊な家に生まれただけ。ボクも結構いい家に生まれたけど、家宝の魔剣を折って勘当されちゃったしね。冒険者の過去は本人が語るまで聞かないのが礼儀だよ」
そんな礼儀があるかわからんけど。
「そ、そうだね」
「まあ、アタシらも似たような感じだしさ~」
二人もわけありかい。いや、冒険者なんて食うに困ったかわけありがなるようなもんか(偏見)。
「今回は、礼儀を守りつつお互いを知るための依頼。ジージーも慣れるためにがんばって。二人なら安心だろう?」
女なんだしさ。
「……わ、わかったわ……」
「ジージー、ちょっと人付き合いが苦手だから許してちょうだい。悪い子ではないからさ」
「リオルームを倒せるならこっちとしてもありがたい限りさ」
「そうね。わたしたちもそこまで強いってわけでもないしね」
「前衛はジージー。中衛はロレソン。後衛はランジン。これでがんばりなよ。不利ならさっさと逃げる。命あっての物種だ」
「なんか、指揮者としてレイに付いて来てもらったほうがいいんじゃない」
「指揮だけしていればいいってものじゃないよ。連携出来なきゃお荷物でしかないからね。指揮役より回復役を仲間にするのもいいよ」
この世界、回復魔法もある。まあ、使える者が少ないから仲間にするのは大変だけど。
「二人はどこに泊まっているの? 定宿がないならボクたちがお世話になっている工房に来なよ。二人部屋だけど、安宿よりはマシだ。お風呂もあるから快適だよ」
「いいの!?」
「お金がなかったから助かるわ」
まあ、お金がないのはわかっていたから二人に声をかけたんだけどね。
「じゃあ、決定。帰ったらお風呂を用意するよ」
二人とも臭いしね。




