第28話 女豹
「おばさーん! お久しぶりでーす!」
十日も通った針工房。工房主のおばさんとも顔馴染みだ。自宅のような軽さでお邪魔致しま~す。
「レイじゃないかい! 生きていてなによりだ!」
いつ死んでもおかしくない世界。別れたら二度と会えないことも珍しくない。久しぶりの再会はひとしおだ。
「なんとか生きてたよ。皆は元気かい?」
「元気だよ。シャルったら結婚したんだよ。抜け駆けよ」
針工房なだけに女子率は高い。皆、わたしくいの年齢だ。結婚で抜けるのがデフォになっているらしい。
「ロミ、ハルリー、バイラ、久しぶり。元気にしてた?」
かしまし四人娘も三人になってしまったか。
「もちろんよ。いい男を見つけず死んでられますか」
「シャルに負けてらんないわ」
この時代の女子は肉食だ。女豹だ。いい男がいたら物陰に引き込むことくらいやってしまうのだ。おっかね~!
「って、いつまでもおしゃべりしてられないか。今日は下着をお願いに来たんだよ。この娘の下着を十着作って欲しいんだ」
置き去りのジージーを皆に紹介した。
「き、貴族の人?」
「綺麗な顔立ちしてるわ~」
「本当に同じ女かしら?」
違う世界の女だから気にしなくていいからね。この体になるには五百年くらい掛かるからさ。
「おばさん。お金はマリュードさんからお願いします」
今のボクは大金を持っていないのでマリュードさんにお任せします。ミスリル延べ棒が売れたら余裕で払えるんで。
「わかったよ。寸法を測る間に鍋と鋏をお願い出来るかい? レイが打ってくれるといい味が出るんだよね」
さすがに味をよくする力はない。熱伝導率がよくなるんだと思う。金属に簡単な付与みたいなことも出来るみたいだからさ。
「任せて。ジージー、しっかり測ってもらってね。ここは町一番の針工房だからさ」
一人にしないで! みたいな顔を向けてくるが、男がいないんだから堪えなさい。これもこの星に慣れるステップだ。
ジージーはロミたちに任せて工房の台所に向かい、すべての鍋を打ち直した。
と言ってもそんなにあるわけではないので二時間もしないて終了。ジージーの様子を見に行ったらバスタオルにくるまっていた。どした?
「……なんか、いたぶられた気分……」
まあ、ジージーの体が綺麗で隅々まで観察されたんだろうよ。なかなかない肌艶だから。ボクもよく見れるなら見てみたいものだ。男だったら拝んでいるところだ。
「はいはい。怖くない怖くない」
仕方がないのでボクが慰めておく。
試作の下着が作られたジージーに付けさせたら町に買い出しに出掛けた。




