第27話 下着
部屋は狭いながらもベッドは二つあり、清潔にされていた。
「しばらくここが拠点だ。仕事は明日からにして必要なものを買いに行こうか」
町では町で必要なものがあり、仕事では仕事で必要なものもある。魔物を倒すだけが冒険者じゃないのだ。
「ここではお金、貨幣が大事。これを知らないと騙されるんだよ」
「面倒よね。カードなら一瞬なのに」
「それはあと四、五百年先にならないと無理だね。まだ紙幣にもなってないんだから」
ボクはカード世代じゃなかったので、貨幣経済でも問題ナッシング。そんな買い物好きでもないし。鍋修理しに家に行ったら食事を提供してくれる。町のほうが生きやすかったりするんだよね。
じゃあ、なんで山の中で生活していたかと言ったら金属を集めていたから。あの周辺はミスリルとか黒鉄がよく採れる場所なんだよね。ミスリルと黒鉄は相性がよくて魔剣の元となるのだ。
ちなみにジージーに渡したのはタダの黒鉄の剣。練習のために打ったものです。
「さすがに四、五百年は生きられないな~」
「二百年くらいがやっと?」
「うーん。百五十年かな~。設備があれば、だけど」
結構長生き。でも、戦争しているからそんなに長生き出来なさそうだ。
「で、なにが必要なの?」
「まずは下着だね。ジージーが着ているものもいつまでも着てらんないでしょう?」
質はよさそうだが、毎日着ていられるものじゃない。小まめに洗っていたら一年と持たないんじゃない?
「ま、まーね。レイが履いているようなものになっちゃうの?」
「これでも高級なんだよ。今の時代じゃダボダボなものを履いていて、質も悪いからガサガサ。何回も履いて馴染むものだ。ボクはちょっと堪えられなくて今の下着を作ってもらったよ」
ちゃんとブラにパンツと現代でも通じるものだ。作るのに金貨二枚くらい使っちゃったけどね。
「まあ、まだ許せるものか……」
「慣れるしかないよ」
もうそれに尽きる。
「……そう、だね……」
まだ吹っ切れてないか。ボクもこの世界に生まれて何度絶望したか。食事に泣き、トイレに泣き、着るものに泣き、お風呂がないことに泣いたものよ。
それでも解決出来ることは解決して、ダメなものは諦めた。やっと暮らしに慣れてきた頃に好奇心で家宝の魔剣を折ってしまった。
魔剣を折る力に気付いてくれたら家にいれたのに、父親は家宝を折ったことに大激怒。まあ、無理もないよねと、抵抗することもしなかったよ。
「下着はすぐに手に入るから安心して。マリュードさんの奥さん、シーアさんの実家が服を作る工房だから」
頼りになるのは伝手。いろいろ作れる工房と知り合いなのが救いだ。




